反逆者のカノン

本田玲臨

反逆者のカノン―Ⅽhapter.A

Episode.0

プロローグ

 彼女は叫んだ。


「私は無実です!あの人...ゴードン氏を止めてください!」


 鎖は彼女が身じろぎする度にカチャカチャと鳴る。しかし、彼女が自由になる事はなかった。

 彼女は叫んだ。


「あの人は、独裁政権を作るつもりなんです!私は、その証拠を掴んだんです!」


 カチャリと鎖の鍵が外される音が鳴り、ドンっと彼女の背中が強く押される。

 再び鍵のかかる音。

 彼女は自由になった両手で目隠しを取り、目の前の檻にしがみついた。

 彼女をここへ連れてきた二人の男は、もう背中が小さく見えるばかりでしかなかった。


 彼女は呟く。


「私は...、無実だ」

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