第14話  俺の出生秘話

小噺を一つ


実は俺の誕生にはちょっとした面白いエピソードがあるんだ


今日はそいつを恥ずかしながらも紹介したい


俺には兄貴がいるって話は前にしたと思う


一人しかいないんだが、一人目が男の子だと


畢竟、親ってもんは二人目に女の子を期待しちまうもんらしい


で、俺の時もそうだったんさ


特にお母さんの方がすごく期待していたらしい


で、産まれる前の医師の診断では『女の子』って話だった


30年以上前の話だから、今と比べると診断の精度も低かったんだろうね


うまく股に陰部を挟みこんで隠していたらしい


で、手術当日(俺は帝王切開で生まれた)


これもちょっと耳を疑うような話なんだけど、


親父も手術室で帝王切開の手術に立ち会っていたらしい


なんでも、兄貴の時に医療過誤に近いことがあって信用できんと


詰め寄って聞き入れてもらったらしい


それで、手術は危なげなく無事に終了


出てきた俺が男の子だったことにびっくりしながら親父が俺を抱いて、


局部麻酔で朦朧とした意識のお母さんに「男の子やぞ!」って


声を掛けたらしいんよ


そしたらお母さんが一言


「…先生の…嘘つき…」


って言って意識を失っていったんだってさ


ちなみにお母さんは麻酔のせいで自分が言ったこと全く覚えてなかったんだとさ


まぁこういういきさつもあって、小さい時は良く女の子っぽい格好させられたもんさ


以上ゆみ太の出生秘話でした


どらえもんと同じくらいドラマチックだろ?

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