第13話 イェーイめっちゃホリデイ
この話は俺が中学生の時の話
中学生くらいの頃って、やっと親なしで友達とだけで自由に遊べたりするじゃん
で、俺はその頃友達と行く『カラオケ』というものにハマっていた
それまで家族で1度も行ったことがなくて(親の聴力とか色々あって)
友達と一緒に行ったら、何か知らんけどめっちゃ楽しくてさ
それで、休みの日に何かと理由を付けて友達を誘っていた
(余談だけど、カラオケって人類の行為の中で最も無意味な物らしいね
昔テレビでやってたわ
科学的に言って生産性が無くて楽しむ意味がわからんらしい)
で、もっというと俺はその時密かにカラオケの採点と言うものにもハマってたんだ
歌い終わった後に点数出してくれるやつね
それで友達と競い合ったりするのが楽しくてしかたなかったんだ
で、俺はその日まっつんっていう当時の親友と二人でカラオケに行った
まっつんはあんまり乗り気じゃなかったけど、何かと理由を付けて誘ったんさ
そんでもって、また何かしらの理由を付けて無理やり採点をオンにして
カラオケを始めた
ちなみにまっつんは超低音ボイスで高橋克己みたいなオジサン声
別に低音が悪いとは今になっては全く思わないが、当時中学生だった俺は
高音至上主義で、いかに高音をカッコ良く出すかがカラオケだと信じていた
俺だけじゃなくて中学生くらいだったらみんな高音に憧れるんじゃないかな
だから、まっつんの点数は低くて当然、相手にならん、と自分の点数をいかに
高くするかに尽力してたんだよ
88…87…くそっ…89…もう少し…90…やった!初90点台!奇跡
みたいな感じで点数を上げようと頑張ってた
それに比べてまっつんは普通に70〰80点台を取って普通に楽しんでたんだ
で、急にまっつんが何を思ったのか
「俺、女性アーティスト攻めてみるわ」って言いだしたのさ
内心、何言ってんだって思いながらも「おう、がんばってみ」
って挑戦させたんだよ
「イェーイめっちゃホリデイ!」
ご想像の通り、まっつんは2オクターブ下でこの曲を熱唱
そりゃーまぁ聞くに堪えない物だったわな
歌い終わった後、「あそこは間違えたなぁ」とかぶつぶつ言うまっつん
それを見て、一応拍手しながら『選曲自体が間違ってんだよ』とせせら笑う俺
テン、テン、テーン!軽快な音を立てて採点が行われる
「こいつやっちまったなぁ」と思いながら、パッと採点画面を見る俺
98点!!激しくファンファーレが鳴り響いた
喝采を受けながら満足そうなまっつん
正直俺には何が起ったのか解らなかった
そこからどうやって家に帰ったのかは覚えていない
あれから色々考えたけど、機械よりも信じるべきは自分の耳だね
それ以来カラオケに行っても、採点はしなくなったよ
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