第9話 ラーメンセット(コーヒー付き)
小噺を一つ
一昔前の話
その日俺はパチンコ屋さんに朝から並んで打ってたんだ。
それも朝の6時半から並んで。
名古屋のパチンコ店のオープン時間は9時だ。
この時点でパチンコを全く知らない人は頭おかしいと思うだろう。
実際頭おかしいと思うけど、この業界ではそれが普通だ。
余談だが俺は七夕(ぞろ目の日)の前日台風の日に夜中の一時に
パチンコ屋の外に人が並んでいるのを見たことがある。
彼らの幸福を願わずにはいられなかったね…
それは置いといて、それで並んで狙いの台を取ったわけ。
パチンコ店だけど打ったのはスロットね。
「ツインエンジェル2」って萌え台の新台入替狙いだったと思う。
昼くらいまで打って、結果はまずまずの2万負け状態くらいだったと思う。
おいおい、2万負けててまずまずってなんやねん。っとトーシロなら思うだろうが
この時の俺には、その後の展開で2万以上取り返す確かな自信があった。
だけど、流れが悪かったので一旦昼休憩を取って流れを変えることにしたんだ。
で、その店(普段はあまり行かない)の回りで
飯を食えるところをブラブラ探したんだ。
すぐにラーメン屋が見つかった。
それも並びで。しかも3軒も。
どれにしようか目移りがしたね。だってどこも食べたことが無いんだから。
最終的に真ん中の店に入ることにした。決め手はラーメンセット。
ラーメンとライスがセットで600円。さらにコーヒーまでついてやがる。
俺は値段とコーヒーに惹かれて入店し注文した。
よくある感じの中国人っぽい人がやってる店で、味も普通だった。
まあ、可もなく不可もなくかな、でもこれにコーヒーがつくなら◎だな
なんてこと考えてたんだよ。
で、食後に「じゃあコーヒーおねがいします」って
中国人風のおばちゃんに頼んだわけ。
おばちゃん5秒くらいで戻ってきて、『えらい早いな』って思ってたら
ガンッ、って俺の机に何かを強く置いたんだよ。
「ハイコーヒーオマチ」
そこにはあった
コーヒーが
業務用ってでかでかと書いたちっさーい缶コーヒーがね。
『せめてコップに入れてくれ』
って心の中で泣きながらソッコー店を出たね。
その日の勝負は当然惨敗。
おばちゃんのせいにしたくないけど、流れを変えれなかったのは事実。
5万3千円のコーヒーは涙の味がしたよ。
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