平成のお姫様
勝利だギューちゃん
第1話
「その方、いまはいつじゃ」
「えっ?」
「いまはいつじゃ」
俺の眼の前には、着物姿の女の子がいる。
自称、とある諸国のお姫様らしいが・・・
「お姫様とやら、どうしてここに来たのですか?」
「知らぬ」
「知らぬって・・・」
お姫様らしく、わがままである。
「ただ、わらわはお城の生活が退屈での」
確かに退屈だ。
「未来とやらを見てみたくなったのじゃ」
確かに未来に憧れるのは、人間の性。
いつの時代も・・・
「での、流れ星にお願したら、そちのところにいたわけじゃ」
詳しくは、割愛する。
「で、今は何年じゃ」
「今ですか・・・西暦・・・」
「洋物はわからぬ。元号でもうせ」
「平成31年ですが、もうじき終わります」
「平成?それはわらわの時代から、何年後じゃ」
「お姫様の時代は?」
「わらわか?わらわは安政じゃ。今、揺れに揺れておる」
幕末かよ・・・
「お姫様の時代から、だいたい150年後くらいかと」
「そんな、先なのか?」
「はい」
ドッキリなのか?
「失礼ですが、お姫様はおいくつで」
「わらわか?わらわは15歳の嫁入り盛りじゃ」
確かに、このお姫さんの時代なら、そうだな・・・
その代わり、20歳を過ぎたら、年増になっていたが・・・
「その方、この時代について教えてくれるぬか?」
「1100聞は一見にしかずと申します」
「一理あるな。その方、案内いたせ」
俺は、この姫さんを、この時代のいたるところを案内した。
でも、予想通りの事が起きた。
「その方、わらわを元の時代に戻してはくれぬか?」
「それは、いかようで」
「この時代の空気は、世には合わぬ」
わがままだ。
でも、当然だろう。
俺も、未来に飛ばされたら、カルチャーショックになり、戻りたいと思う。
やはり、自分の生まれ育った時代が一番だ。
でも、どうやって帰そうか・・・
「ならまた、流れ星にお願すれば、よろしいのでは?」
「そうじゃの。試してみるか」
その日の夜、お姫様は流れ星にお願をした。
すると、お姫様の姿が消え始めて行った。
「どうやら、帰れるようじゃ。そなたには世話になったの」
「いいえ。お元気で。というのも変かな・・・」
「いや、ありがとう。恩に切るぞ」
「とんでもないです」
俺は何もしていないが・・・
「おう、その方にひとつ頼みたい」
「何なりと」
「もし、わらわが生まれ変わったら、もらってくれぬか?」
一応、頷いておいた。
「かたじけない。では、さらばじゃ」
お姫様は消えた。
無事に、帰れた事を祈ろう。
その頃、宇宙ではこのような会話がされているのを、俺は知らなかった。
「どうですか?あの男は?」
「いささか頼りないが、とても優しい男の子です」
「そうですか?」
「過去から来たと言う、私のウソの話に疑いつつも乗ってくれました」
「あの男はどうですか?」
「幸せにしてやってください」
「かしこまりました」
神様は、時々、その人に試練を与える。
その人を試す為に・・・
俺は合格したようだが、その事を知るのは、かなり先だった。
平成のお姫様 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます