星降る夜の物語

本田玲臨

プロローグ 語り部は語る








 一縷の光もない暗闇に佇む黒いコートを着た少女が、語る。
















 ──奇跡の流星。


 それは、他の流れ星と一体何が違うのかは分からないけれども、それを見た者に何らかの"奇跡"を与えるのだと言います。

 それは時たまに降るどこにでも見られる流星でもあり、流星群の中に紛れている事もあります。


 え?何故そんな詳しい事を知ってるのか、ですか?

 いいじゃありませんか、そんなちっぽけな話。

 仮に私が奇跡の流星を知っている理由を貴方が知ったとしても、それはこれから私が語らせて頂く物語には何ら関係ありませんので。

 それよりももっと楽しい話をしましょう。そうですね...。夢のある奇跡の話をしましょうか。


 奇跡の大きさは人によって違います。まぁ、当たり前ですね。

 傍から見れば大したものでなくても、その人間にとって重要であれば、それは奇跡に値するのです。

 つまり、奇跡というのは、取り上げなくても常に身の回りで起きているのです。

 だからどうしたって?

 あぁ、貴方はせっかちですね。そんなに焦らなくとも話は逃げませんから、どうかご安心を。

 これはちょっぴりお話に関わるのですよ。だから説明しておいたのです。


 さて、それではお待ちかねのご様子ですし、私の仕事を致しましょう。

 今回は奇跡の流星にまつわるものから厳選したお話を5つ程、私の口から語らせて頂きます。


 これから話すものは、夜空から下を見下ろす恥ずかしがり屋なセレーナや、あるいは空に浮かんだ見ているだけの傍観者であるステラ達から私が聞いた、少し変わった愛のお話。

 そして、これは夜空に祈りを捧げた人間達の話でもあります。

 そう、これは......、


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