忍隊より
英雄組織から帰還した伊鶴は疲れ果てていた。
話を聞けば、女子らに集られたらしい。
確かに、忍隊は顔が良い奴ばっかりで不細工は居ない…。
嫌な予感がする。
英雄組織には明朗を行かせておけばよかったか。
明朗なら疲れ果てるなんてことはなく、喜んだだろうに。
「お疲れさん。」
こちとら相手は問題ないらしいが。
才造は、惚れた相手以外には興味を持たない性格。
頼也は、慣れた相手以外は関わりたくないし、女が基本的嫌いな性格。
冬獅郎は、慣れた相手や大人しい人以外は仕事でなければ御免だという性格。
小助は、美人限定でそれ以外とは関わりを持ちたくない性格。
明朗は、結構誰とでも楽しめる性格。
海斗は、仕事以外では女と接したくない性格。
伊鶴は、肉食系女子に苦手意識があるし、仕事であっても勘弁願いたいとまでいう性格。
鎌之介は、弱い相手には興味がない性格。
三好は、面倒な相手を嫌う性格。
伊鶴の様子からして、明朗以外に大丈夫そうな奴はいなさそうだ。
ただ、耐えてくれるんだったら女子相手だった時には足止めくらいはできそうだ。
可哀想だから、そういう仕事はさせたくないし、できるんなら分身でいい。
「まったく、意外な落とし穴…。」
振り返れば、伊鶴は充電切れで立ったまま居眠りに入った。
明朗を目で探せば、暇そうだ。
だからといって、行かせるというのも…。
「それよか、才造。そろそろ拠点の引越ししようか。同盟相手とのやりとりの場所としてだけ此処を使おう。」
「いくら同盟相手でも、場所が知られた警戒心か?」
「まぁね。その情報が漏れれば此処は終わり。そうなる前に、此処をいつでも潰せるようにしておくのさ。」
また部下らに黙って隠れ家となる拠点作りをしておいていた。
今度はそこへ。
移動は勿論、見つかっても困るので場所だけを伝えて散って行く。
結界も張っておいた。
問題ない。
「荷物は影で一気に運ぶさ。非番の奴からとっとと行きな。」
目にも留まらぬ速さで移動できる足を持つのだから、なんら問題はないと見ている。
もし、それで見つかってもまだ他に宛はあるし、どうとでもやってやるのさ。
忍隊十勇士に限らず、部下でも不細工はいない。
下手すれば男共全員、食いつかれる可能性がある。
我が忍隊の女の数は男より少ない。
手数が削がれるのは恐ろしい。
十勇士の中で、誰が最も好かれて、誰が安全なのか知る必要がある。
「悪いけど、十勇士総出でご挨拶行こうか。伊鶴、もね。」
「……何の策で…?」
「十勇士の中で一番食われる奴と、一番安全な奴を順位形式で出す。そんで、大丈夫な奴から仕事組むから。」
途端に皆の顔色が悪くなった。
完全に餌として行かなければならないのだから。
「頼也は、いつもの囮気分で行けばいいからさ。」
「俺は影以外の女は無理だと知っていての試しか?」
「頑張って嫌われりゃいいじゃないの。さ、行くよ!」
「今からか!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます