怪物

正義と信じていたものが正義じゃないと感じる時、人は怪物になる事がある。

歪んだ正義を身体に入れられると、これでもまた人が怪物になる事がある。

そんなことを考えながら、夜風を浴びていた頃がある。

冬に差し掛かった季節だったけど、暖かい風が自分を包んでいた。

怪物は何をするか予測がつかない。

たくさんの命を奪う事があるかもしれない。

孤独と引き換えに多くの人に恐怖を与える存在になるかもしれない。

暖かい夜風は、僕自身が怪物になる事を止めてくれた。

優しい風だった。

まだ、やれるよと言ってくれたような気がした。

人間は、浅いようで、深い。深いようで、浅い。

たくさんの怪物の子供が、近くにいる。

僕は誰かに夜風を吹かせられる人間になれるだろうか。

まだやれるよと、言ってあげられる人間になれるだろうか。

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