愛国

そこに行けばどんな夢もかなうというよ、とそんな歌が昔流行った。

そこには、みんな行きたがるらしい。

そんなところ、行ってみたい、と一瞬思った。

でも、どんな夢もかなってしまうのはつまらない、とも思った。

行くだけでかなってしまう夢。

それでかなえてしまえることって、夢といえるのだろうか。

その歌の中では、その場所は愛の国と言われていた。

愛ってなんだろう。

夢ってなんだろう。

国ってなんだろう。

ふと、住宅街のはずれにある木を見てみた。

葉にも木にも、欠けたものや整ったもの、綺麗なものや汚いもの、いろいろある。

やっぱり、どんな夢もかなう国があったら、つまらないな。

かなわない夢、散っていく夢、追っても逃げていく夢がある。

かなわないから、散ることがあるから、逃げていくから夢という。

それも一つの美しさなんじゃないだろうか。

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