36-1
~36-1~
あぁ、あぁ、もう。嫌だ嫌だいやだいやだいやだ。どうしてこんなにも此の口は想いと裏腹に舌を回すのか。
折角の二人きりで初めてのバカンス、しかも行き先は憧れの
送迎の車に乗せ換えられた折、抱き上げられた懐にいつもとは違う異物の気配も感じていた。話の流れからして正体を想像するのは容易かったのだけれど、其れが却って状況を拙くさせている。意識しすぎてしまった為なのだろう、先を打つ様に話題に挙げるなら未だしも毒々しい自虐で出し処を失くしてしまうなんて。
求めて止まなかった甘やかな一時の訪れに我知らず動揺と緊張を強いられたが故の言動と汲み取って呉れれば良いものを。この人は自分を下手に大人様に扱うものだから天邪鬼を字面通りに受け取ってしまう。嬉しいのですけれど、もっと身の丈に合わせて扱って下さればお互いに苦労が無いのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます