「西谷。お前も行くんだろ。職員室まで、一緒に行こうぜ」

 真琴くんは美月にそう言った。

「え、あ、う、うん。すぐ行く」

 美月は答える。

「じゃあまた明日ね。絵美ちゃん」

「うん。頑張ってね、美月ちゃん!」

 なぜかすごく楽しそうな顔で絵美は言う。


「じゃあ、明日は一緒にサッカーやろうぜ。兎の世話って、毎日ってわけじゃないんだろ?」勇気くんが網に入れたサッカーボールを触りながらそう言った。

「ああ。わかった」 

 真琴くんは言う。

 それから真琴くんと勇気くんは笑顔でハイタッチをして、勇気くんは「じゃあな。真琴」と言って教室から出て行った。(教室を出て行く際に、勇気くんはちらっと美月のことを見た。でも美月はその視線がなにを意味しているのかわからなかったので、小さく首を傾げただけだった)


 美月と真琴の二人は職員室まで移動をした。

 そこで、担任の小竹梅子先生に挨拶をした。

「こんにちは。二人とも準備はいい?」とにっこりと笑って梅子先生は言った。

「はい」

 二人は答えて、それから梅子先生と一緒に兎小屋の前まで移動をした。


 移動の間、ずっと美月の心はうきうきしていた。

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