東京・ブルンガ島

カツオシD

第1話 主な登場人物 と 序章【10月6日】

『 主な登場人物 』


  (日本人)

山部 邦夫(61)  元警視庁捜査一課刑事。この物語の主人公。

桧坂 香織(25)  山部と共に調査に当たる神奈川県警の巡査部長

河野光太郎(38)  警視庁捜査一課刑事で元山部の部下

森倉 修司(45)  警視監 官房総務課長

友久 直光(63)  死体で見つかった東都大学文化人類学者

日浦 隆之(38)  ブルンガ島住民の便宜を図るNGOハミクマの理事

富永 芳雄(52)  ブルンガ島にある吉浦電気工場の管理部長

間宮 素子(43)  ブルンガ島にある日本人向け宿泊施設・京沖ホテル支配人

内田 静香(28)  ブルンガ島にある日本人向けスナックのチーママ

牧丘 尚暉(49)  神奈川県警・警視正 

藤高本 洋介(47) 桑山造船・管理部長

脇田 智則(38)  吉浦電気・工場長


 (ブルンガ人)

ルカ・ベン(35)  外務省が雇ったブルンガ人ガイド。ハミ族

ロラン・チャタ(81) ブルンガ人長老。

アミラ  (19)  長老と住む小学校の教師。クマ族

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      序章     【 10月6日 】


 激しい雨が降りしきる、海沿いのデッキを初老の男が走っていた。

 足を引き釣りながら必死の形相で何かから逃げているのだ。その証拠に数十メートル後から男を追うように、強力な懐中電灯の幾筋もの光が上下左右を動き回っている。

 やがてその光の一つが男の背を照らし出した。

「Nimeipata!」という叫び声がした。

 点在する街灯に照らし出された姿を見れば、声を発したのはベージュの制服に身を包んだ体格のいい黒人のようだ。

 胸に『POLICE』と書かれたワッペンが見える。

 発見されたことを知った男は目を見開いて悲鳴を上げた。

 男は2キロ程離れた対岸の夜景を見ながら「あそこまで逃げられればなあ……」と呟いた。

 だがこの場所から繋がる橋は無く、夜11時のこの時間には連絡船も無かった。

 男はこんな時間でも営業しているビアホールを見たが、そこで飲む黒人達を見て諦めた。「あれはダメだ。やつらの息がかかった連中がいる」

 せめて工場まで逃げることができたら助けを呼んでもらえるかもしれないと思い直し、痛む足に鞭を入れたが、彼を追う黒人警官は俊足ぞろいで、数十メートルの距離をあっという間に追いついた。

 黒人警官に取り囲まれた男は「知らない! 私は何も知らない。Je ne sais rien!」と、必死で弁明したが黒人警官たちは聞く耳を持たない。

近づいてきた黒い影が警官達に命令した。

「kuua!」

 警官達が一斉に棍棒を振り上げた。



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