第4話

撥条


「お宅の息子を預かっている。返してほしければ一億用意しろ。分かっているとは思うが、警察なんかに連絡したら息子の命はないと思え」


 ドラマなどでよく聞く誘拐犯の脅迫ですが、二回も実際に聞かされると本当に使われていると思い知らされます。という訳で、千石撥条、人生二度目の誘拐です。中流家庭の子供を誘拐して何になるか分からないですが事実は事実、誘拐されています。目隠しとか手足の拘束とかされちゃってます。


「おい、お前。一言だけ喋れ。余計なことは言うなよ」


出ました。『一言でいいから声を聞かせてくれ』さて、なんて言いましょうか。


「「あ、お父さん。僕です、撥条です。僕は今のところは大丈夫です。申し訳ないですが ふいんちゃんに夫婦漫才やって弄んだことを謝るから、早く誕プレのくれるよう伝えて貰っていいですか。地球儀買ってくれる約束していたので

 ボコ


「小僧しゃべりすぎだ」


殴られました。すごい痛いですけどメッセージは全部伝えられたので良しとしましょう。後は助けを待つだけです。

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