しょーへんわんだぁらんど。
滋路
飴
彼の下駄の音が小気味よくからころからころ鳴って、私はそれについて行くのに必死だった。夏祭り。露店の商品はどうしてこんなに魅力的なんだろう。彼はそう呟きながらリンゴ飴を舐めていた。べっ甲に包まれた宝石は、提灯の橙色の灯を受けて、いっそう綺麗に煌いて見える。彼の綺麗な歯が、それを齧る。赤と白の対照的な取り合わせに、思わず目が眩んでしまうのは人が多すぎるからなのかしら。そんな事を考えていると、彼は私にそっと口づけをした。みずみずしく爽やかな、果実の余韻が口の中をふわりと犯す。ファーストキスは柑橘の味とよく言うけれど、私たちの初めてのキスはリンゴの味だった。
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