恋心

彩 ともや

恋心

午前零時を告げる鐘が

一人で空しく響いてた 


揺れる瞳の奥の奥

あの日の君に映ってた

僕の姿は今はない

三振かましたバッターが

憐れにベンチに下がるみたいに

僕は試合からおろされた

君の隣の特等席から


剥がれていくのは恋心?

虚構も

空虚も

全部まとめて1、2の3で捨てられたなら

ビルの屋上

高くから

星屑みたいに降らせたい

恋心すらも破り捨てて

紙吹雪みたいに

君の頭上に



忘れられないあの温もりが

あの日の僕らを思い出させる

やけにさみしく感じてる

いつでも空振り 空回り

懐かしいなんて思いたくない

僕は今すぐ忘れたいんだ

君の隣の温もりを


褪せていくのは想い出ばかり?

呪いも

鎖も

全部まとめて1、2の3で切られたならば

空の彼方

遠くから

鳥の羽みたいに軽くなれる

恋心すらも切り捨てて

何処へでも行ける

新たな場所へ


零時は告げる

終わりの時を

それでも動く

秒針が1つ

止まらないのは

きっと罰

うずくまって

戸惑いながら

時計が急かす日々を送る

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋心 彩 ともや @cocomonaca

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ