童話集

けんはる

3年後の物語

ここはありとあらゆる童話のキャラクターが生きている世界

そして

この物語は

ある主人公の3年後の物語


私の名前は赤い頭巾をいつも被っているから

赤ずきんちゃんと呼ばれてる

「じゃあ、お母さん、行ってくるね」

「えぇ、おばあちゃんによろしく伝えといてね」

「わかった♪」

私は今からおばあちゃんの家に赤ワインと美味しいパンを届けに行くの♪

「今日もいい天気、鳥さん、こんにちは♪」

赤ずきんが歩いていると前から狼が歩いてきた

「狼さん」

赤ずきんは驚いて立ち止まり、バスケットを落としてしまった

「よぉ、赤ずきん、3年ぶりだな、お前のやったことは決して許さない」

赤ずきんは目に涙を溜め

「ごめんなさい、狼さん、私は助かるためとはいえ、狼さんにひどいことをしてしまって」

赤ずきんは両手で顔をおおい、しゃがみこんだ

「本当にごめんなさい、ごめんなさい」

赤ずきんが謝り続けていると

狼はばつの悪そうな顔をしながら

赤ずきんに近付き

「もう泣くなよ、赤ずきん」

狼が赤ずきんの肩に触れようとすると

「なんてね」

赤ずきんはバスケットからサバイバルナイフを取り出し

狼の手を掴み、後ろに周り

狼の首に刃を立てた

「なんで、私があんたに謝ると思ったの?バカじゃないの?私はあんたがしたことを絶対に許さない、わかった?狼さん?」

「なんだと、赤ずきん、騙しやがったな」

「赤ずきん?赤ずきん様でしょ?それに騙されるあんたが悪いんでしょ?」

赤ずきんは悪そうな顔をしながら刃を押し付けた

「赤ずきん様」

「よろしい、私はあれからずっと鍛えていたの、またあんなことにならないようにね」

「これからどうするつもりだ?」

「そうね、あなたの毛皮剥いであげましょうか?大丈夫よ、殺しはしないわよ」

「それはごめんだ」

狼は肘でおもいっきり赤ずきんの腹を殴った

「ぐっ」

赤ずきんはその場でうずくまった

「じゃあな、もう会うことはないと思うがな」

狼はその場から走り去った

赤ずきんはその後ろ姿を見ながら立ち上がり

「そう、追いかけっこがしたいのね」

ぽつりと呟いた


「何なんだよ、あの女、ここまで来れば大丈夫か」

狼は充分に離れたことを確認して

立ち止まるとなにかが頬を掠めた

「なんだ?」

狼が頬を触ると血が出ていた

「なんで血が?」

狼が後ろを振り向くと

500メートル位離れたところに

スコープの付いたライフルを構えた赤ずきんが立っていた

「なんだよ、あれ」

狼が驚いていると

また、銃弾が頬を掠めた

「ヤバすぎるぞ、あの女」

狼はその場から走り去った

「大丈夫、絶対に見つけてあげるから、狼さん」

赤ずきんは狼の後を追いかけた


(ここなら見つからないだろ?)

狼は木に登っていた

「狼さ~ん、どこ?出てきてよ、ねぇ狼さん」

赤ずきんは大声で狼を捜していた

「どこにもいない」

赤ずきんはちょうど、狼がいる木の下で止まった

「いないんじゃ、仕方ないから帰ろかな?」

(そうだ、とっと帰れ)

狼がそう思って

下を見ていると

赤ずきんと目があった

「みーつけた♪」

赤ずきんは瞬時にライフルを構え

撃つが枝が邪魔をして、狼には当たらない

「当たらないか、じゃあ仕方ない」

(諦めたか?)

赤ずきんはしゃがみこむとバスケットから何かを取り出し

おもいっきり上に投げた

(何を投げやがった?)

よく見ると

(手榴弾だと、ピンは抜けてないみたいだが)

不思議に思いながら下を見ると

赤ずきんがライフルを構えていた

(まさか、嘘だろ)

狼は最悪の想像をし

木から飛び降りた瞬間

手榴弾は激しい光と共に爆発した

(やりやがった、あの女)

狼が着地すると後頭部に銃口を当てられた

「捕まえたよ、狼さん」

「手榴弾使うとかとんでもない女だな」

「大丈夫、ただの閃光弾だから、じゃあ、狼さん」

(くそ、ここまでか)

ピピピピピ

赤ずきんは腕時計からの音を止め

「もうこんな時間か、早くおばあちゃんのところに行かないと」

赤ずきんは狼から銃口を離し

背中に背負った

「それじゃあ、また遊ぼうね♪狼さん」

赤ずきんは去っていた

「二度とごめんだ~」

狼の叫びが森に響いた





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

童話集 けんはる @kenharu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ