クリエイターならば知っておきたい雑学【ありがとう15000PV】

板皮類

◆2019年度◆

1.『コロンビア大学のジャムの実験』

 これは、『選択肢が多いことはプラスかマイナスか』を調べる目的で、コロンビア大学に在籍するシーナ・アイエンガー教授のチームが、1995年に行った実験です。


 とある、スーパーマーケットにて、以下の2つのジャムのお店を併設しました。


A:6種類のジャムを売っているお店

B:24種類のジャムを売っているお店


 お店では試食ができて、気に入ればその場で購入ができたようです。


 さて、A・Bどちらのお店の方が、お客さんの支持を集めたのでしょうか?



 結論から述べます。

 過半数(60%)のお客さんは、Bのお店で足を止めました。

 多くの品数を揃えているビジュアルが、目を惹いたのかもしれません。


 しかし、なぜか、B店に入ったお客さんはほとんど、商品を買いませんでした。


 反対に、A店では、多くのお客さんがジャムを買いました。

 その購買率は、B店のなんと400%! 4倍!

 (一説には1000%=10倍 資料によって、諸説あり。界王拳かよ!)

 購買意欲を高めるという点においては、ジャムの種類が多い店よりも、少ないお店の方が有利だったと考えられるわけです。



 この結果、意外でしょうか?

 しかし、実際に、とある大手企業がヘアケア商品の種類を、26種類から15種類に減らしたところ、売上が10%もアップしたとか。



 我々は、品揃えがいいお店ほど、優れていると考えがちです。

 でも人間とは、『選択するのメンドクセェ』と感じ、『いっぱい一度に見せられても、ワケワカラン』と、拒絶の心理を発する動物であるとわかっています。


 皆さんも学生の時分、100個以上もある元素記号の表を見て、ゲンナリしたことがあると思います。根っこの心理は同じでしょう。


 さて、このジャムの実験の結果を最もくまなければいけないのは、『ソーシャルゲーム』業界、次いで『(キッズ系の)トレーディングカードゲーム』業界でしょうか。

 いうまでもなく、ソシャゲーもトレカゲーの大半は、登場キャラクターの多さを売りにしています。山手線の窓から車外を眺めていれば、カワイイキャラが大勢並んでいるようなゲーム系の看板をよく見かけますよね。


 しかし、『ジャムの実験』の結果を踏まえれば、悪手になりかねません。

 ソシャゲーの業界風にいえば、キャラ数の多さは、


・アクセス数(UU)や、登録者数は稼げる

・でも、課金率(PUR)においては、不利になりうる


 といったところでしょうか。

 キャラの百鬼夜行は、一瞬だけ目を惹くものの、お客さんの心にはほとんど何も届かないのかも。ただ、現実的には、運営するにあたって、定期的にキャラクターを増やしていかなければならないわけです。


 二律背反! あんびばれんつ!


 できれば、Aのジャムの店の長所と、Bのジャムの店の長所を、いいところどりをしたいところです。

 でも、そんな都合のいい裏技なんてあるのでしょうか……?


 あります!


 その名も『チャンク』!


 して、『チャンク』の詳細とは――!?


    ・

    ・

    ・


 カクヨムにて、私が連載している、

『【チームでキャラデザのすすめ】言われてみれば当然だけど、優れたキャラクター設計に必要な工夫を考えてみる』

 なる、作品論でご紹介しています!


https://kakuyomu.jp/works/1177354054888713584


 (´-`).。oO(なんだ、宣伝かよ……)


 うん、そうなんだ。

 でも、チャンクを正確に把握するには、関連情報も伝えなければならなくて、ここには書ききれないのです。


 ごめんね。

 ただ、おわび代わりに、一点だけ補足をば。

 この『ジャムの実験』の顛末を、就活中の面接で披露したところ、


 「じゃあ、どのくらいの選択肢の数に抑えれば適切なの?」


 と、面接官から問われました。


 『5~9種類』。

 回答はこうなります。

 マジックナンバー7±2の法則と呼ばれ、この数字を超える情報を一度に見せると、人間は拒否反応を示すとされています。


 あるいは、もっと数が少なく、

 『私たち人間の脳は、一度に3~4つのことにしか集中できない』

 ともいわれています。


 ソシャゲーを引き合いに出すと、このカクヨムに多く活動している小説家志望の方には、遠い世界の話に思えるかもしれません。しかし、


・箇条書きの適切な項目の数

・ゲームのUI(操作系デザイン)上のボタンの数

・メインビジュアルに載せるべきキャラの数

・バイトの後輩を指導する場合、伝える注意事項はいくつまでに抑えるべきか


 など、我々のクリエイト&日常生活にも反映できることも、あろうかと思います。

 あるいは、逆説的に


 ・どのくらいのセールスポイントを並べれば、お客さんは盛だくさんと感じるか?


 なる応用の考察もできようというものです。

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