ボクとキミの前夜
葵流星
ボクの前夜
「ふは~、疲れた…。まったく…何が簡単なんだよ…。」
皐月レオンは、疲れた身体を引きずりアパートへと帰ろうとしていた。
「…また、君かノエル?」
「…。」
何やら後ろから気配を感じたボクが後ろを振り返るとそこにはノエルが居た。
あいかわらず、下手な尾行だ。
「はあ…これから、コンビニによるけど一緒に行く?」
ボクがそう声を掛けると電柱の後ろの白色は上下に激しく揺れた。
おそらく肯定ということだろう。
ボクも彼女に慣れてきたのだと思う。
彼女は、ノエル・ミルフォード。
異世界からやってきた侵略者(?)だ。
少なくとも敵意はない。
ただ、ボクとしてはボクの『バイト』に興味を持たれることは非常に困る。
だからこそ、こう友好的には接している。
そして、もう一つ彼女はこの世界の物語に興味があるようだ。
コンビニに着いたボクは、店内に入り夜食のパンを買った。
この店のメロンパンは他の店のような物ではなくしっとりとした夕張メロンのクリームが入っている物だ。
ボクが読んだ本の主人公もメロンパンが好きだった。
たしかに、いつも食べているクッキー生地の物も悪くはない。
けど、今日はこれが食べたかった。
バイトは、とにかくお腹が空く。
ノエルはというと、本棚を見るや面白くなさそうにそこらへんの棚からおやつを取り、ボクの了承を得てカゴにおやつを入れた。
店から出たボクはそれをノエルに渡し、しばらく話をして別れた。
彼女の言う『物語』は、どうやらライトノベルのようだった。
もしかしたら、彼女の世界にはライトノベルという物がないのだろうか?
ノエルが来た世界に是非とも行ってみたいものだ。
問題はどうやって友好的な関係を築くことができるかだ。
「ライトノベルか…。」
たしかに、おもしろい。
現にボクも読んでいる。
…ボクにも彼らのような相棒ができるかな。
「相棒?それとも、パートナー?…タッグ?」
なんだか、ソワソワしてきた。
「巻き込んじゃっていいかな…?」
皐月レオンの夜は長い。
ボクとキミの前夜 葵流星 @AoiRyusei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます