方向性が迷子な私

 さて、どこまで書くべきか。常ながらエッセイというやつは迷うものだ。何処まで思いの丈を吐き出して良いのか、何処まで取り繕うべきなのかいまだに判断がつかない。


 私は格好をつけたがるので、弱音など書きたくないし、人様に対する愚痴めいたことも書きたくない。どんなジャンルが流行ろうと己は信じる物を書けば良いというスタンスを確かに持っていた。持っていたと過去形で書かねばならないのは情けない限りではあるが。


 かつて自信作があった。それの第一話の雰囲気は上々だったらしくいろいろな感想をいただいた。だが、少し話が難しいのではという指摘ももらっていた。そこで完成をしていないものに、私は手を加え、その結果作品の空気は壊れたように私は感じた。この件では誰が悪いのか明白で、私が全体図を見る前に形を変えたことで形成されかけていた空気を自ら瓦解させたのだ。その空気、雰囲気こそが私が求めた物であったというのに。


 その作品で活躍する予定だったキャラクターの話は今でも書きたい。と言うよりは書いている。書いては更新を止めるを繰り返している。


 最近、私は自信を喪失しかつて書いていた作品を読み直していた。そこで件のキャラクターが出てくる作品を読み直して、これを書こうと思い至った。まったくの新作ではなく、過去作のコピーに色々と付け足す方法で。そして、それをろくに精査せずに掲載してしまったのみならず、第一話でどの位気になるかをチェックするという企画に参加させてもらった。


 続きが気になる度は作品本来ならば20パーセントだが、文章がボロボロで2パーセントだと評価された。企画者の方が気になった文章を指摘してくれたが結構な量を指摘してくれた。文章の指摘というのは労力が伴うもので、非常に申し訳なくなった。


 そして何より、自分で自分の作品の価値を損なっている現状に気付かされた。確かに違う作品でも早くアップするより推敲に時間をかけた方がよい、作品の勢いを殺してしまうと指摘を受けた。そこで気を引き締めたはずなのにこの体たらくである。かつてはもう少し推敲に時間をかけていたはずなのに、最近は碌にしていなかった。


 企画に参加した作品は、手直しを加え続けるつもりだ。今連載中の一人称戦記物(一人称なので歴史を語れないけど)やMMORPG物も終わりまでは続ける。その為には推敲にしっかり時間をかけなくてはいけない。


 だが、私自身の方向性が実は定まっていない。何を書きたいのか、定まっていない。好きな物は幾らでもある。SFアクション、まっとうな戦記もの、純ファンタジー、近世位を舞台にしたホラーもの、モンスター娘いっぱいのハーレムもの等、書いて見たくはある。だが、本当の方向性はどれだ? 軸は何処だ? 地に足がつく基盤がなければ冒険はできないじゃないか。


 私はそこまで多様性がある人間じゃない。視野の狭い古いオタクに過ぎない。かつて武器がないと悩んでいたが、それどころではなく立ち位置が不明瞭だった。まずはこれを見つけないといけない。書き始めはそれからだ。

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