彼が出会ったのは世界を旅する名前持ちだった
もえすとろ
mobがカタリィとバーグさんに出会った話
カタリィ「初めまして、ボクはカタリィ。カタリィ・ノヴェル。
物語を集め、届けるために世界中を旅してるんだ」
A「……また、か」
また
ただでさえ二人の名前持ちヒロインに絡まれてるのに、これ以上名前持ちと関わってたまるか!
まったく……世界はよっぽど俺を消したいらしい
カタリィ「ん?どうしたんだい?」
A「はぁ……
カタリィ「ネームド?」
A「用が無いなら俺は帰らせてもらいます」
名前持ちを関わると碌なことにならないからな
カタリィ「待って!待って!実は君に頼みがあって」
A「頼み?俺に?」
カタリィ「そう!君の心にある物語を読ませてくれないかな?」
A「はぁ?何言ってるんですか?名前持ちの間で新しく流行ってる遊びですか?」
mobは世界の背景だ。
自身の心に物語を持っているとしたら、それは名前持ちの人たちだ
mobにそんな事を言うなんて……なんてひどい奴なんだ
カタリィ「いや、遊びとかじゃないんだけど……」
A「はぁ……是非に辞退させてください。じゃ、さようなら」
逃げるが勝ちってことで!
それにしても変な名前持ちだったな……
カタリィ「あ……」
ったく…何の嫌がらせだよ……
翌日、放課後の学校の正門の所にまたカタリィとかいう名前持ちが立っていた
カタリィ「やっ!」
A「またですか」
カタリィ「ごめんね。どうしても君の物語が必要なんだ」
女の子?「こいつが、そうなの?」
どこからか女の子の声が聞こえた⁉
カタリィ「そうだけど、こいつとか言っちゃダメだよ」
カタリィがスマホの画面をこちらに向けると其処には女の子のアバターがいた
今流行りのVチューバーとかいうやつか……?
女の子?「ふ~ん。私はAIのリンドバーグ。気軽にバーグさんって呼んで」
AI?初めて聞く設定だな
A「ああ、はいはい。よろしくバーグさん」
バーグさん「何か、軽くない?AIよ?凄い技術なのよ⁉」
A「はいはい、凄い凄い」
ったく、めんどくさい絡み方するVチューバーだな……
南城「この人たち、誰?知り合い?」
A「あ~……昨日いきなり声かけてきた名前持ちさん」
堀北「へぇ、名前持ちなんだ?」
カタリィ「初めまして、ボクはカタリィ・ノヴェル。以後お見知りおきを」
バーグさん「カクヨム作家サポートAIのリンドバーグよ。バーグさんって呼んでね」
南城「初めまして、
堀北「
カタリィ「南城さんに堀北さん、ね。うん?君たちも心に物語を持ってるね」
南城「何?心に物語り?」
堀北「ねぇ、この人(あたま)大丈夫?」
A「どうだろ……」
カタリィ「あ、そうだ!まずはちゃんと説明しないとね」
バーグさん「私がしようか?カタリィくんは作家として3流もいいところなんですし、説明下手でしょ?」
カタリィ「うぐっ……でも、自分するよ。これはボクの役目だからさ」
カタリィ「まず最初に言っておくと、ボクには特別な力があるんだ。それはね、人が心に封印した物語をこの
え?異能系の名前持ち?何それ……此処はラブコメの世界線なんだけど!?
世界線超えて来たってこと?ホント不安しかないんだけど……この人たち……
南城「へぇーー」
堀北「そうでしたか」
カタリィ「あれ?驚かない?」
A「だって、単純に異能系の世界線からコッチに来ただけだろ?」
そりゃあ珍しいけど、驚くほどでもないよな
カタリィ「え?……ま、いっか。それで見通した物語を一篇の小説にして必要としてる人に届けるのが使命なんだ」
A「ふ~ん」
カタリィ「だから、君たちの心に封印された物語を詠ませてくれないかな?」
A「それって、了承取らないといけないものなのか?」
カタリィ「え?いや、だって……心を覗くようなものだし」
A「その特別な力ってのは了承無しに使えないのかって聞いてんだけど」
カタリィ「いや、必ず許可を取らないといけないって訳じゃないけど……」
A「じゃあ何で許可なんて取ろうとするんだよ」
カタリィ「それは、人道的に、ほら、ね?」
A「最初に言ったろ?俺はmobだって」
カタリィ「もぶ?」
A「そう。だからカタリィくんがしたいなら、勝手にすればいいんだよ」
カタリィ「でも……」
こいつ何をそんなに躊躇ってるんだ?
南城「あのさ、カタリィくん」
カタリィ「なんでしょうか?」
南城「彼の心に封印?された物語って私も読める?」
はいぃ!?何言ってんのぉ!?
カタリィ「あ、はい!ボクが小説としてまとめれば、ですけど」
南城「私、読みたい!」
堀北「私も読みたいわ」
カタリィ「えっと……いいのかな」
よくない!
A「だが、断る!」
バーグさん「カタリィ?さっき勝手にしていいって言ってたし、早速詠んでみましょうよ」
カタリィ「う、うん」
ちょ、おまっ!
カタリィの左目が光を放つ
そして光が俺を包み込む
真っ白な風景の中に一冊の本が浮かんでいた
本は鎖で縛られて南京錠で鍵がかけられていた
カタリィ「これが君の物語、だね。詠ませてもらうよ」
鍵と鎖がパリーン!と砕け散った
パラパラパラパラ
とページが勢いよく捲られる
カタリィ「うん、うん、そっか、そうなんだね」
何かを納得するカタリィの声は何処か弾んでいた
カタリィ「終わったよ、ありがとうね」
A「終わったのか?」
カタリィ「うん。君の心に封印された物語、確かに詠ませてもらったよ」
A「そうか。じゃ、もう用無いんだよな?」
カタリィ「うん。協力ありがとう」
南城「え?何?なんか一瞬だけ光ったけど」
カタリィ「彼の物語を詠んだんだ」
堀北「あの一瞬で?」
カタリィ「うん」
南城「それで!?どうやったら私たちが読めるようになるの!?」
カタリィ「えっと、今から彼の物語をカクヨムってサイトにアップロードするから……カクヨムって知ってる?」
南城「知らない!春香は?」
堀北「私も知らないわ」
バーグさん「それはイケナイ!是非カクヨムに登録して!今スグ!」
南城「かくよむってサイトに登録しないと読めないの?」
バーグさん「そうよ!(嘘)」
堀北「なら、登録するしかないわね」
バーグさん「カクヨムって検索すればすぐ見つかるから!」
南城「あ!コレ?」
バーグさん「そう!ソレ!」
堀北「できたわ」
南城「早っ!?えっと……私もできた!」
バーグさん「そしたら、カタリィのアカウントをフォローして!」
南城「どうやって?」
バーグさん「今、そっち行くからちょっと待ってて!」
南城「え?……あ、バーグさん⁉私のスマホにも入ってこれるの⁉」
バーグさん「登録者の端末へなら自由に出入りできるの!凄いでしょ!」
堀北「それセキュリティとか大丈夫なの?」
バーグさん「まぁ入れるってだけで、何か弄れるわけじゃないからね~」
堀北「それなら安心ね」
バーグさん「それで、ここの所にカタリィって入れて、そう…それでここタッチして完了!あとはカタリィが彼の物語をアップするの待つだけだよ」
堀北「私も出来たわ」
バーグさん「それと、気が向いたらアナタ達も小説アップしてみてね!」
南城「え?私たちも?」
バーグさん「そう!ここは読むだけじゃなくて書くことも出来るの!」
堀北「でも、小説なんて書いたことないわ」
バーグさん「心配ないわ!その為に私が居るの!私は作家サポートAIのリンドバーグ。作家さんへ応援とかアドバイスとかするのが役目だから!」
南城「へぇーー!そうなんだ!」
堀北「なら、私にも出来るかもしれないわね。彼とのラブストーリーとか良いかも……ふふ」
バーグさん「大丈夫ですよ!大体みんなド素人でめっちゃ下手だけど、それなりに頑張ってますから!」
なんか軽くディスってない?
堀北「そ…そう」
南城「私は基本読むだけかなぁ、書くのは興味ないし」
バーグさん「そうですか?もし書きたくなったら、いつでも読んでくださいね!」
カタリィ「じゃ、そろそろ行こうかな」
A「二人にはさっきのやらないのか?」
カタリィ「まずは君の物語をアップして、それを読者に届けないといけないからね」
A「読者って?」
カタリィ「世界のどこかで君の物語を待ってる人だよ」
世界のどこかって、どこだよ
カタリィ「それじゃ、ありがとうね。これでまた一歩目標に近づけたよ。世界中の人々の心を救う究極の物語『至高の一篇』ってやつにさ」
A「至高の一篇……?」
カタリィ「じゃあね!また会えたら…」
カタリィは光に包まれて忽然と姿を消した
来る時も唐突だったけど、いなくなる時も唐突だな
もう、会いたくないなぁ
その後、南城さんと堀北さんが俺の心の小説を読んだかどうかは聞いていない
というか怖くて聞けない
でも、あの日以来なぜか過剰なスキンシップは無くなった
ホッとしてるのも確かなんだけど……
それ以上に不安でもある
もし、例の小説に何か変な事が書いてあって、それを二人が読んだ場合……
いや、考えるな
もう、忘れよう……
どうせ気にしても碌な事にならないさ
今日も今日とて世界は平和だ
一介のmobにとってはそれで充分なんだから……
やっぱあとで読んでみるかな……
彼が出会ったのは世界を旅する名前持ちだった もえすとろ @moestro
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