終章【師弟の絆は揺るがない】
「ばーかーでーしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
「ばーかーしーしょーおおおおおおおおおおおおおおおおおおあおおおおおおおおおおお!!!!」
二つ分の絶叫が、天魔が降り注ぐ蒼穹に響き渡る。
正面衝突する銀髪の師弟はギンギンキンキンカキーンッ!! と超高速で打ち合っているようだが、その速度が目で追うことができず、第三者は完全に置いてけぼりを食らっている状態だった。あれはどういう状況なのだろう。
頑丈な王都アルカディアの城壁の上に立ち、ショウはただ無言で鬼の師弟の修行光景を眺めていた。記憶の回廊で見たはずの修行光景と随分かけ離れているのだが、本当にこれは修行なのだろうか。下手をしたら死人が出そうなものである。
「やあ、ショウ君。またユフィーリアたちの修行を眺めてるの?」
「…………イーストエンド司令官の目は節穴かなにかか?」
「君って辛辣になったよね」
虚空が水滴を受けた湖面のように揺らいだと思ったら、ずるりと黒髪紫眼の青年――グローリア・イーストエンドが平然と歩いてくる。空間と空間を繋げる『
最強の師弟はついに
「セイッ」
「ぐッ」
褐色肌の男によって大太刀を弾かれた銀髪碧眼の相棒が舌打ちをし、再びその姿が掻き消える。またギンギンキンキンとぶつかり合いが始まってしまい、もう目で追うことができずに諦めの状態に入ったショウはため息を吐くしかなかった。
そんな彼らを見ながら、グローリアはショウへ問いかける。
「相棒が取られて寂しい?」
「…………………」
ショウの赤い瞳が、胡乱げな様子でグローリアを映す。
広々とした地上では、ついに体力の限界が訪れたらしい師弟が膝をついていた。どちらも肩で息をしているが、その表情は活力に満ちている。
「馬鹿弟子ィ、腕を上げたんじゃねえかィ」
「逆にお前は腕が鈍ってんじゃねえのか、馬鹿師匠。へばってんじゃねえぞ」
「うるせェやィ。オメェもへばってんじゃねえかィ」
あれほどユフィーリアを清々しい笑顔にできた人物は、後にも先にもアルベルド・ソニックバーンズだけだろう。
自分が隣にいる時には見えない表情を目の当たりにしたショウは、少しだけ不機嫌そうにグローリアの質問へ応じた。
「そうだな。ものすごく嫉妬している」
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