オウマ帝国興亡記 ~伊達男マリウスの華麗なる立志伝

ビジョン

用語・世界観

用語解説 ※地図あり

■オウマ帝国:

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 物語の舞台となる統一王朝。『中原』と呼ばれる肥沃な大地を支配下に治めている。200年以上の歴史があり、朝廷は腐敗しきって、かつての求心力を失っている。

 各地で力を持った諸侯が台頭し、中央にはそれを抑えておけるだけの力がない。だが象徴としての権威だけは残っている。

 直轄州たるハイランドを含めて、全部で7つの州に分割されている。各州は帝国に統一される以前の文化を色濃く残しており、地域性が強い。また帝国が無闇な地域間の転居や転属を制限していた為に、各州ごとに人種がはっきりと分かれている。



□ハイランド州:

 帝国の直轄州。中心地は帝都ロージアン。中原のほぼ中央部に位置している。

 ハイランド人は堀が深く色白で、色素が薄めの金髪や茶髪が多い。碧眼が多いのも特徴である。


□イスパーダ州:

 ハイランドの西に広がる州。州都はバレンシア。西の大海セリオラン海に隣接しており、漁業を始めとした海洋業が盛ん。日差しが強く、暖められた海風の影響で温暖な気候。

 イスパーダ人は浅黒い肌に、黒か茶色の髪と同色の瞳が特徴。


□フランカ州:

 ハイランドから見て南に広がる州。州都はヴィエンヌ。農業生産が盛んな都市が多い。また名馬や名酒の産地としても有名。

 フランカ人は比較的ハイランド人と似た特徴を持つが、比べると全体的に色素が濃い。また体格的に線の細い者が多い。


□ガルマニア州:

 ハイランドから見て東に広がる州。州都はハルシュタット。実用的で野暮ったい地域性。山岳が多い地形の為、しばしば山賊の隠れ家として利用される。

 ガルマニア人は体格が良く、赤い髪と瞳が特徴的。


□リベリア州:

 ハイランドから見て南東に広がる州。州都はエトルリア。これより東には荒野と砂漠が広がっている帝国内でも辺境に当たる州。

 リベリア人はやや色の濃い肌に、黒い髪と瞳の者が多い。


□スカンディナ州:

 ハイランドから見て北に位置する州。州都はカレリア。これより北には雪に覆われたデュアディナム山脈と、北東に広大な原野が広がるのみの辺境州。

 北方人種はハイランド人より更に色素が薄く、空色の瞳が特徴的。


□トランキア州:

 ハイランドから見て南西に位置する州。州都はモルドバ。帝都から最も離れており、それより南には人外魔境の樹海が広がっている帝国でも最辺境と呼ばれる。

 元は帝国の流刑地であり、この州のみは特定の人種が存在していないが、全体的に堀の深い顔立ちの者が多い。



■統治体制:

 各地方はそれぞれの名を冠した『州』となり、皇帝より位を拝領した【王】が統括している。各州はいくつかの『郡』に分かれ、そこを【公】が統括している。


 それぞれの郡は更に細かく『県』に分かれ(都市単位)、その県を管轄するのが【伯】となる。各県は中核となる都市の他にいくつかの町村や砦、関所などの拠点で構成される。


 ハイランドは帝国の直轄州の為【王】はいない。


 帝国での役職は、【王】が都督、【公】が刺史、【伯】が県令となる。


 現在は中央の弱体化により、地方の【王】や【公】などが独自に軍を組織し、勢力を拡大させようと争う戦乱の世となっている。中には腐敗によって【王】や【公】も弱体化し、【伯】つまり都市単位で争っている地方も存在する。


 彼等の目的はいずれも自らによる中原統一と帝室の『保護』である。


 群雄の中には、今の中原の情勢を憂いて本気で帝室の保護や復興を目指している者もいるが、殆どの群雄は帝室を差し置いて、最終的には自らの王朝を打ち立てるのが目的。



■四大異境:

 中原の外にも世界は広がっているが、帝国人は自分達こそが世界の中心と信じて疑わず、中原の外には何もない世界が広がっているだけだと考えられていた。

 それも無理からぬ事で、中原は東西南北を過酷な【四大異境】に囲まれており、その異境の先にも世界が広がっているなど想像も出来なかったのである。

 尚、最北のデュアディナム山脈を含めて異境は5つとする考え方もあるが、デュアディナム山脈はそもそも人間がほぼ生存できない環境である事と、帝国人は東西南北四つで一組という物を好むので、デュアディナム山脈は基本的に異境として扱われていない。


□ノーマッド:

 中原の北方に広がる広大な原野。どれほどの広さがあるのか正確には誰も知らないが、帝国全土を合わせたよりも広いのは確実とされている。

 硬い土と痩せた土地、独特の植生、危険な肉食獣の群れ、不定期で発生する大きな地震によって定住には全く向かず、帝国は幾度も進出を目論んだが遂に叶わず、異境と認定されるに至った。

 定住を行わない遊牧民達が僅かに暮らしているのみである。ノーマッドでしか育たない草を常食とするムールと呼ばれる動物の肉や毛皮が帝国内で高値で取引される為、遊牧民達の貴重な外貨獲得手段となっている。


□セリオラン海:

 中原の西に広がる大海。比較的陸地に近い浅海部では漁業も盛んで帝国に恵みをもたらしているが、遠洋まで出向くと非常に荒れた海となり、渦潮なども発生し、過去に幾多の漁船や商船が沈没している。

 それだけでなく船を沈めて人間を喰らう恐ろしい巨大生物の噂や、霧に包まれ方角が判らなくなり最終的に座礁する『船の墓場』や、人間を攫って仲間にする幽霊船などの恐怖の噂も絶えず、好んで遠洋に漕ぎ出す船は存在しない。

 しかし僅かながら安全な航路が存在し、その先には『シャンバラ』と呼ばれる島国が存在している。その為安全な航路を熟知した航海士は、シャンバラとの交易を望む商会などに莫大な報酬で雇われる。


□ザハラーゥ:

 中原の東に広がる不毛の砂漠地帯の総称。外縁部は僅かながら植物も自生している荒野だが、そこを越えると延々と砂丘が広がるだけの死の砂漠である。

 その余りの酷暑ぶりは人間の定住を厳然と拒む。しかし蜃気楼を抜けた先にある『黒い黄金都市』の伝説や、飲めば不老不死になれるオアシスの逸話、古代王朝の王墓の噂などが、幾多の不心得者達を惹き付け続けている。

 当然だがそういった者達が生きて戻る事はなく、帝国もまた精密な探査を諦めており、この砂漠は異境としての地位を確立している。


□アマゾナス:

 中原の南部に広がる広大な樹海。見たこともないような異様な植物が繁茂し、やはり中原ではまず見かける事のない恐ろしい猛獣や危険な蟲の類が多数生息している人外魔境の地として名高い。また多くの植物が毒性を帯びていると言われる。

 樹海を抜けた先に何があるのかを知る者はいない。上記の危険に加えて、言葉の通じない凶悪な食人族の王国の存在も確認されており、また深い樹海は視界を遮り踏み入った者の方向感覚を狂わせる。

 やはりこの樹海も奥地には様々な神秘が渦巻いていると噂されており、分け入る愚かな命知らずは後を絶たない。

 樹海の外縁部は『南蛮』と呼称されており、「比較的」相互理解のしやすい諸部族が割拠している。



■パルージャ帝国:

 ザハラーゥを越えた先にある巨大帝国。オウマ帝国に侵攻してきた事で初めてその存在が明らかとなった。中原とは全く異なる言語、文化、価値観、宗教を有している。

 死の砂漠であるザハラーゥをどのようにして乗り越えてきているのかは、当初は不明であったが、長い戦いの中で言葉の通じない捕虜などから苦心して情報を得る事で判明してきた。

 パルージャ帝国の皇室には極稀に、砂漠のオアシスの出現位置を正確に予測できる特殊な能力を持った人間が生まれる事があるらしい。

 それらは『精霊ジン』と呼ばれ、同じ『精霊ジン』でも能力の強弱があり、死の砂漠を踏破できる程広範囲のオアシスの位置を予測できる能力を持った者は『大精霊イフリート』と呼ばれ、100年に1人ほどしか生まれないらしい。

 この『大精霊イフリート』が生まれ、長じた時がオウマ帝国への侵攻時期となってきたのであった。

 このような背景の為に、オウマ帝国側からパルージャへ侵攻する事が出来ずに、常に国土への侵略と防衛を強いられる事となった。この幾度かに渡るパルージャとの大戦も帝国の国力を弱め衰退を早める要因となったのは間違いない。



■経済:

 過去には各地方ごとに独自の貨幣経済が発達していたが、帝国統一後に全て統合された。

 基本的にはジューロと呼ばれる貨幣が流通している。地域によって物価が異なり、田舎の都市であれば庶民1人辺り税金込みで大体1000ジューロあれば一ヶ月生活出来ると言われる。

 ロージアンやヴィエンヌなどの大都市になると倍の2000ジューロ程。勿論世帯の人数などによってこの値は変動する。

 白金、金、銀、銅の4種類に分かれており、


 小銅貨:1ジューロ  中銅貨:10ジューロ  大銅貨:100ジューロ


 銀貨:1000ジューロ  金貨:1万ジューロ  白金貨:10万ジューロ


 となっている。白金貨は通常市井に出回る事はほぼなく、大きな金額を動かす大勢力や大商家などでのみ見かける事がある。



■宗教:

 特定の神を崇めるような宗教は存在していない。ただし父祖の英霊を祀るという習慣があり、それが宗教の代わりとなっている。その為墓地などの施設や、それを管理する為の職業は存在する。

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