2. 1日目

 

 普通なようで普通じゃない。 そんな一日だった。


 日もすっかり落ち、駅から徒歩20分程、外れた家の周りは、すっかりと静かになっていた。

 天井からは白系統に光が広がり、7畳程度のこの部屋には十分に隅まで明るく照らされている。その一角にある、黒と灰色の正方形が均一に並べられているシングルベッドでに横たわり、俺は今日の出来事を思い出していた。


 少しやわらかい感触が、全身を包む。寝るところは極力良いものを。と、少し奮発して質の良いベッドを買ったおかげで、心地よさが全身を駆け回った。自分のことながら、良い買い物をしたな。と、改めて感じた。


 ともあれ、本当に今日はほんの少しの違和感がある日だった。いつも通りお昼頃に目を覚まし、寝ぐせ直しのためにシャワーを浴びて、灰色のスウェットと、黒い長そでのTシャツのまま、徒歩6分のコンビニへ向かった。

 そこで昼ご飯のお弁当と、夜食べるようのカップ麺を買い、2日に一回買う、1日分の野菜がとれる野菜ジュースを飲みながらまた家へと戻る。

 ここまではいつもの日常。ただ、ここからがほんの少し変わっていた。


 コンビニからの帰路に、電柱の下に無造作に置かれるゴミ捨て場があるのだが、今日はそこにボロボロで、でもなんだか綺麗な、そんなフランス人形を見かけた。

 普段なら人形にも興味はないし、増してはゴミ捨て場に捨てられた人形なんて、眼中にもない。

 それなのに、その異様は雰囲気をか持ち出す人形に目を奪われ、ハッと我に返った時には、その人形を両手で持ち上げていた。

 慌てて人形を置き、辺りをきょろきょろと見渡して誰もいないことを確認すると、足早に家へと帰った。



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