東京芸大浪人祝三周年目

SHIN

第1話祝3浪目!

現役時代、初めて絵画に触れた事を今でも思い出すとドキドキする。


まともなデッサンなんてした事が無く、初めての石膏像何週間もかかった。

先生はとても厳しい人で、もう描けないという所まで書かせられた。


そのせいで、紙は破けて、ボロボロで真っ黒なデッサン、苦労した分次のデッサンは報われてとても良く描けた。


自分が何かをできた事は今まで無く、僕は小学生の様に父と母にデッサンを見せた、父と母も劣等生の僕にこんな才能があるなんてととても喜んでいた。


「よし、俺東京芸大受けるよ!!」


この言葉が地獄の始まりだった。


自分は天才、人とは違う、予備校に行って周囲の実力に圧倒されるも、自分は天才、人とは違うと心の中で唱え続けて、現役の時はストーンと落ちた。


「美大受験は浪人してからが本番だし、力つかないまま大学行っても苦労するだけだよ」

と講師の先生は笑う。


自分は天才、人とは違う、あっという間に一年間、一浪目落ちた。


......自分は天才?、......人とは違う?、二浪目は滑り止めに行ってからの仮面浪人、

落ちた。


......才能とはなんだろうか?なにもかも整理された今なら分かる。講師の先生の


「僕の言うことをしっかり聞いて、下書きをしっかりすれば一浪で受かります!」


との言葉。


あぁなんで気づかなかったのか結局真面目に浪人したのは3浪までだが、結局は6回

芸大を受けるハメになった、自分は天才?いや才能なんてないのは誰よりも自分が知っている。


才能とは誰よりも「適切」な努力をし「結果」を残せる事、あぁなんで気づかなかったんだろう、いや本当は気付いてた、合格者の作品が教授の作品の酷似している事、アーティスト意識が強く柔軟になれなかった自分、18歳の時に戻れるなら、教授達の画集を見せて、これ全部模写しろと言いたい。


というよりも内輪でだらだらやっている日本の美術シーンを知った今なら、もう美術をやるなと、お前にはボクシングの才能があってボクサーは20歳の時が選手としてピークなんだぞと言いたい。


が、今アラサーの自分、一通りの事を内省した上で、まぁこんな経験をして良かったかなと思う、表現の為に、料理をした、本をたくさん呼んだ、漫画とアニメをたくさんやった、フラストレーションを発散する為にボクシングやトレーニングに打ち込んだ。


その上で地盤の固まってない、周りのみんな結婚や育児、出産という花が咲いている中で、近くにある柿の木を見る桃栗三年柿八年、自分は柿の木なんだと。


とっても甘い貴重な柿なんだと、さぁ僕はお酒も飲めない、やりたい事はたくさんある、みんなは仕事に行って、ビールを飲んで、パートナーと楽しんでる中。


僕は浪人中に気になった本を読もう、浪人中にしていたトレーニングをしよう、趣味でまたボクシングを始めてもいい、休憩中には漫画、アニメを見よう、ゲームをしよう、美味しい食事を自炊して節約しよう、色んな事を小学生の様な感受性で楽しみ、吸収して、多面的に物事を見れる様になてそして美大ひっくるめた美術界隈に復讐してやるのだ、ふふふ。

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