私と妹と、妹と妹。

全人類の敵

「うぅ……息がぁ」


 意識が朦朧とした中、私はひどく熱く、そして呼吸も許されない状況へと陥っていた。


 寝起きで目が開けにくいけど、そうも言ってられない。

 現在の私は何者かによって体全身をきつく縛られて、身動きが全く取れないといった状態だ。


 口の中にはティッシュが詰め込まれているかのように、言葉を発することすら出来ない。


 そこで私は、先程からずっと体にのしかかっているこの存在を退けるべくして、体を左右に揺さぶっていた。


 巻き付いた蛇を振り払うように……。


 そして遂に――


「っぷは…………もう、朝から苦しいわね……いったい何?」


 くだんの存在を引き離すと、そこには唇を唾液でべとべとに濡らした少女が……頬を真っ赤に染めてこちらを見つめていた。


「うふっ、こと姉ちゃんったら……そんなに焦っちゃって!」


 あまつさえ私の唇までべとべとに濡らして、最近体重が少し気になっているというのに馬乗りで、自身の指をぺろぺろと舐めているこの少女。


 …………残念なことに、私の妹だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る