馬路宮内の帰還と外交成果

 馬路宮内が帰って来たと言うことで、重臣たちと共に馬路宮内の報告を受ける。


 馬路宮内から受けた報告の中で、島津日新斎殿からの同盟の提案は驚くべきことであった。

 しかも、交易の便宜を図ってくれたり、交易拠点を認めてくれると言う。

 以前から、伊勢湾~土佐~薩摩航路と薩摩~琉球航路を分けたいとは思っていた。

 薩摩を通って琉球に行って、薩摩に戻るのは余り効率的とは言えないからな。

 しかし、交易拠点の提案は島津家との関係が深まってから提案するつもりだった。

 島津日新斎の要望としては、一月に一回食料を持ってきて欲しいとのことである。

 薩摩を交易拠点に、二航路に分ければ可能だと言える。

 この様な、こちらに有利に感じる提案をしてくると言うことは、それだけ薩摩の情勢が良くないと言うことだろうか?

 馬路宮内に話を聞くと、日向や大隅の国人領主たちが、前当主の勝久に、日新斎側との和睦を要求したところ、断られたそうである。

 そのため、島津領は一気に戦の流れに傾きかけている様で、食料を必要としているそうだ。


 島津との同盟の件は、こちらに取っても都合が良い。

 雑賀の湊衆の頭領とは、何れは二航路に分けたい話はしていた。

 次回から実現可能かを湊衆、弾正忠家、大橋家と話し合う必要がありそうだ。



 もう一つは、琉球に倭寇狩りの拠点を作る件だが、琉球側の担当者と打ち合わせて、船はこちらで貰い、捕虜は相手側に引き渡すことで合意出来た様だ。

 明人で無い倭寇や通訳は、その都度話し合い、引き渡すか決める。

 倭寇狩りの拠点を確保したため、湊衆の頭領とは、倭寇狩りへ派遣してもらう船も用意してもらわなければならない。

 一応は、船を二隻を奪って一隻ずつ分ける話はしている。

 派遣する海兵(海軍歩兵)や、奪った船を操船する水兵も新たに編成しなければならないな。


 馬路正頼の様子を聞いたが、マレー語を覚えるのは結構大変みたいである。

 何れは、もっと人を送るか、正頼に教えさせるか考えたい。



 思っていた以上の外交成果を獲得したが、島津の情勢は厳しい様なので、それなりのリスクを伴うだろう。

 その後の話し合いで、湊衆からは、何とか二航路分の船と倭寇狩りの船を出して貰えることとなった。

 湊衆としても、かなり厳しい様だが、美味しい仕事であることは確かなので、他の仕事を削ってくれるらしい。

 弾正忠家や大橋家も乗り気であり、物資集めに忙しくなりそうだ。

 当家も、頼芸派や周辺地域から交易品を買い集め、部隊を編成しないといけないから、忙しくなるだろう。



 こうして、正義たちは、次回の交易に向けて慌ただしく準備をするのであった。

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