東方外交②
◇北条氏綱
目の前に、西村庄五郎なる者の使者で、馬路正統と言う者がおり、関白近衛稙家様や久我亜相様、山科卿の書状を差し出してきた。
引見している部屋には、継室と嫡男の新九郎を同席させている。
本来ならば、美濃の小領主の使者などと会うことは無いのだが、関白様の書状があるならば、話は別だ。
わしは継室に近衛尚通様の娘を娶っている。朝廷との繋がりは、近衛家を通じて執り行うことが多い。
そのため、関白様の書状を持っている使者を無下には出来なかった。
「関白様や公卿の方々の書状を読むと、西村庄五郎殿は関白様の御子と言うことで間違いないか?」
関白様や公卿の方々の書状を読めば、西村庄五郎殿は関白様の御子らしく、良しなに対応してくれとのことであった。
「左様にございます。我が主からの文と贈り物にございます」
馬路正統は西村庄五郎殿からの書状と贈り物を差し出してきた。
西村庄五郎殿からの書状を読むと、今後とも書状のやり取りをしたいとのことであった。
贈り物の目録を観れば、明の産物や香木、砂糖など稀少な物が多い。やはり、都に近いから、その様な物を手に入れる伝手があるのだろうか?
近衛家や朝廷との伝手を維持することを考えれば、書状のやり取りぐらい問題はなかろう。
関白様や西村庄五郎殿の書状を継室と新九郎に見せると、継室は嬉しそうにしていた。
「お前様、庄五郎という子には会ったことはございませぬが、我が甥ながら、自分の力で領地を得たのは面白うございます。
何卒、力になってあげてくださいませ」
継室から、西村庄五郎殿の力になって欲しいと言われる。
馬路正統に西村庄五郎殿について様々なことを訊ねてみたが、なかなか面白い人物のようだ。
取り敢えず、書状のやり取りをしてみることにした。
◇武田信虎
先程まで、美濃の西村庄五郎なる小領主の使者である馬路正統と言う者を引見していた。
書状を読み、話を聞けば、関白様の実子であるらしい。贈り物に明の産物、砂糖や胡椒などを寄越しおった。
今後とも交流したいとのことであったので、中央との繋がりが欲しいことから承諾した。
ようやく、甲斐も一つに纏まりつつあったものの、先年に諏訪氏との戦に負け、雲行きが怪しくなってしまった。北条や今川と敵対しておることから、南には出られぬ。
山内上杉や扇谷上杉と協力し、信濃へ出るしかあるまい。
◇諏訪頼満
美濃の西村庄五郎殿という小領主から使者が参り、書状と贈り物を渡された。
西村庄五郎殿は関白様の御実子らしい。関白様や公卿の方々の書状もともに渡された。
美濃の領地で諏訪明神を勧請したいそうだ。そして、鹿食免も共に欲しいらしい。
当方としては都合が良いので、承諾した。関白様の実子なので、繋がりを持っておくのは良いだろう。
書状のやり取りをして、勧請の時期を合わせる旨の書状を、使者に渡した。
◇長尾為景
美濃より西村庄五郎殿という領主の使者が参った。
本来ならは、美濃の小領主の使者に、わし自らが会う必要などないのだが、関白様や公卿の方々の書状を持っているとのことで、直接会うこととした。
関白様たちの書状を読むと、西村庄五郎殿は関白様の実子らしい。
西村殿の書状を読んでみても、交流を持ちたいので、書状のやり取りをしたいとのことであった。
近衛家や公卿の方々との繋がりは強めたいので、書状のやり取り程度ならと承諾をした。
越後と美濃では直接的な利害は発生しないから、当家の利になるならば良し、利にならぬとしても害にはそうそうなるまい。
◇馬路正統
時間がかかってしまったが、殿の書状を各大名に届けることが出来て良かった。
本来であれば、美濃の小領主の使者など、大名に面会など出来ないが、関白様や公卿の方々の書状が会ったため、直接お会いすることが叶った。
後は、関東の様子を観て、殿に御報告するとしよう。
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