クエスト20:《???》を救え



 今から一〇年前のことだ。

 聖都中の人々から将来を期待された、聖騎士の若い男女がいた。

 聖騎士としての実力もさることながら、その人格も非常に優秀。


 弱きを守り、悪しきを正す。そんな騎士としての在り方を自然体で実践できる、高潔な精神の持ち主だった。そのためなら目上の貴族や上官にも媚びることなく、臆せず意見を述べる。強い信念と、それを貫く覚悟があった。


 そんな二人は人々から慕われ、また仲睦まじい恋人同士として祝福されていた。飄々とした男と生真面目な女。性格は違えど互いに同じ信念を抱く二人は、騎士見習いの頃から競い合い、高め合い、惹かれ合い、誰が見てもお似合いの双翼だった。


 だが……正しく高潔であるほど、そうでない者たちにとって二人は目障りな存在。


 平民の成り上がりを疎む者。地位を奪われるのではと恐れる者。男の人気を妬む者。下劣な欲で女を狙う者。

 思惑はそれぞれだが共通して言えるのは、私欲に溺れ弱者は踏みつけて当然とする彼らにとって、正しく高潔な二人は『異物』だったということ。





 当時の聖騎士長までもが加わり徒党を組んで、卑劣な騎士たちはまず男を罠にかけた。

 毒を盛り、背中から斬りつけ、それでも幾人かの犠牲を出してようやく男は倒れる。


 男を監禁する場所に選ばれたのは、当時探索で発見されたばかりである、地下五〇階層の大広間。理由は各階層のセーフゾーン以外で唯一マモノが発生しない場所だったこと。当時は出入りしていた冒険者や、男に味方する騎士が決して立ち入れない場所だったことだ。ここの扉を開ける鍵は、徒党に加わった聖騎士長が隠し持っていた。


 日頃から私利私欲を満たすのを、男によって阻まれてきた騎士たち。

 その鬱憤を晴らすべく、光の力でモラルも欠落した彼らの仕打ちは残虐を極めた。


 片目を潰し、耳を削ぎ、剣を二度と振るえないよう両手の指も全て切り落とす。

 魔法攻撃で火責め、水責め、治癒魔法で生かさず殺さず、何度も繰り返す。


 そして男を人質にして女を脅迫、今日はこんな風に女を嬲って辱めたと面白おかしく語って聞かせ、目を血走らせてもがく男の様を皆で盛大に嘲笑う。


 そんな地獄がどれだけ続いたのか――あの日がやってくる。





 とうとうこれ以上は治癒でも持たないほど衰弱し切った男に、騎士たちは最後の『余興』を行った。彼らが放ったのは攻撃でも悪罵でもなく、薄汚れた布キレ。

 ボロ布に包まった小さな小さな『ソレ』がなにか、男は二秒かかって悟る。


 それは、胎児だった。


 本来なら母親のお腹の中で何ヶ月も発育を待たねばならない、未成熟の赤子。

 女が男との間に授かった、愛の結晶。家族の証。未来の希望。

 それを、この外道どもは治癒魔法の悪用で、女の腹から引きずり出したのだ。


 男の心が無残に砕け散る。人の皮を被った畜生どもの笑いが木霊する。

 そして――発狂した男の怒りと絶望が、地下深くに封印されていたモノを目覚めさせた。


 男から噴き出す、光が反転した闇。あたかもその引力に引き上げられるようにして、ヒト族が《邪神》と呼ぶ存在は、封印に生じた綻びから顔を出す。

 それは邪神の全体からすれば、爪先にも満たない僅かな末端。


 しかしその末端を宿したことで、狂った男はマモノとも似つかない異形の怪物に変貌した。聖騎士長が抜剣する間もなく五体をバラバラに切り刻まれ、今度は騎士たちの悲鳴と血が地獄絵図を描く。


 そして……偶然鍵を拾い上げ、奇蹟的に逃げ延びた一名を除いて、外道の騎士たちは皆殺しとなった。


 以来、邪神の封印が綻んだ影響で、地下迷宮に発生するマモノが日に日に凶悪化。光の力で優位に立てる聖騎士以外は立ち入りできなくなる。封印の綻びとその原因を隠蔽するため、教団は地下三〇階層より下に続く階段ごと全てをなかったことにした。


 地上の人々も、あれほど慕っていた男と女に対して不自然に関心を失い、忘れ去る。


 そうやって忘却に沈められた地下深くで。

 邪神が完全に復活するための下僕と成り果てた男は、死ぬこともできずに悪夢の中を彷徨い続けている。一〇年の歳月が経った今も……。





 男の眼前で、愛する人が外道どもに組み伏せられている。


 愛する人の悲鳴が、外道どもの嘲笑が、鼓膜から男の脳をグチャグチャにかき回す。


 四肢をもがれた体は立ち上がることもできず、焼き潰された喉は叫ぶこともできず。


 外道どもを八つ裂きにしたい怒りも、愛する人を救い出したい願いも、叶うことなく。


 何度も何度も何度も何度も、何度でも絶望が男の心を砕くのだ。


 そして今度もまた、男の想いは届かない――


「いいや、届くとも。そのために、俺が来た」


 それは今まで一度もなかった、何者かの声。

 どこからともなく現れた灰髪に赤目の青年が、男にそっと手を触れた。


 すると青年の手から黒い雷が迸り、男の体に流れ込んでくる。

 痛みはない。それどころか、力が満ち溢れてくるのを感じた。


「力が足りないのなら貸してやる。だが、成すのはあくまでもお前自身の怒りだ。怒りを糧に立ち上がれ。そして今度こそ、今度こそ守って見せろ!」

『オオ……ッ。オオオオオオオオ!』


 喉が叫びを上げる。両の足で地に踏ん張り、右手には黒雷の剣を握る。

 男の怒りに呼応した黒雷が、欠損した肉体を補って男を立ち上がらせたのだ。

 青年が何者か、などという疑問は頭にない。あるのはたった二つの成すべきこと。


 ――殺す! そして守る!


『マリーヲ……ハナセエエエエ!』


 男は駆け、黒雷の剣を振るう。かつて最高最強の聖騎士とまで呼ばれた剣に、万感の憤怒と殺意を乗せて。


 漆黒の閃光は、外道どもをまとめて断ち切った。黒雷は外道どもを一〇〇に引き裂き、その肉片一つ一つに壮絶な苦痛を与えながら焼却する。


『マリー? マリー!』


 まるで嵐が過ぎ去るかのように、怒りと憎しみの激流はあっけなく鎮まった。

 それに疑問を抱く間も惜しんで男は愛する人を抱き起こす。


 濁ったガラス玉の目。生気を失った青白い肌。しかし男の呼びかけに、目は見る見る輝きを取り戻していき、頬にもバラ色の艶が蘇った。

 そして女は、強張った顔に精一杯の微笑みを刻んで、男を見つめ返す。


『ああ、あなた……』

『ごめん! ごめん! こんなに、こんなにも遅くなって』

『いいの。いいのよ。あなたは来てくれた。私を助けてくれた。ああ、でも……赤ちゃん、私たちの、私たちの赤ちゃんが――』


 込み上げる熱い涙が、一瞬で凍りつく。

 そうだ。彼女を取り戻しても、二人の愛の証はもう二度と……。

 絶望が再び二人の心を砕こうとした、そのときだ。


「私は大丈夫だよ。パパ、ママ」


 二人を一緒に抱きしめる、白くも温かい両腕。

 顔を上げればそこにいたのは、全く見覚えがないはずなのに、まるで初めて会った気がしない、銀髪に深紅の眼をした少女。


「私、もうこんなに大きくなったの。自分の足で立って、どこまでだって歩いていける。だからもう苦しまないで。悲しまないで。安心して……眠っていいの」


 潤んだ瞳から涙が零れ落ちないようにしながら、少女は笑う。

 男と女は、喉元まで込み上げた疑問を呑み込んだ。互いに顔を見合わせると、少女の頬にそれぞれの手で触れながら笑い返す。


『駄目なパパとママでごめんな。俺たちの手で君を育てたかった。君の成長を傍で見守りたかった。だけど、それは叶わないみたいだ』

『でも、これだけはどうか忘れないで。あなたは私たちの愛で、希望で、未来そのもの。あなたが生まれる前からずっと、これからもずっとずっと――』


 あなたを愛している。


 一生分の想いを込めた言葉を残して、二人の体が光の粒子に解けていく。

 全ての苦しみと悲しみと絶望から解放された二つの魂は一つに融け合って、空よりも遠い彼方、星々の輝く海へと飛び立っていった。





「おやすみなさい。パパ、ママ。どうか安らかに、幸せな夢の中で」


 一つになった光が星となるのを、銀髪紅眼の少女――フラムは最後まで見送る。

 そしてやや離れた場所に立つ俺――タスクの方を振り返った。


「ありがとう、タスク。あんたのおかげで、邪神の眷族にされていたパパと、教団の操り人形にされていたママ、二人の魂を解放してあげることができた」

「フラム。お前は、あの二人の子供だったのか?」

「……厳密に言えば、違うわ。あの二人の子供となるはずだった、小さな生命。私はそれを苗床にして生まれた、ヒトならざるモノ」


 フラムが指を鳴らすと、頭上に広がっていた星空がパチンと消える。

 二人が立っているのは天地の感覚の他になにもない、真っ白な世界だ。


 ここは精神と精神が直接、肉体の壁を越えて対話する仮想の空間。詳しい理屈はわからないが、ともかくそういう場所だ。この世界を通じてフラムはパパとママを再び引き合わせ、俺は男が女を救い彼自身を救うための助力をした。


 そして男と女が去った今、俺たちは隔てるモノもなく、互いの魂をさらけ出している。


「あの胎児には、まだ生命が残っていたの。まだ意識も確立できていない、空白の魂。本来ならそのまま消滅してしまうはずだった。でもパパが邪神の眷族と化したとき、胎児の魂も一緒に取り込まれたのよ。負の情念が集合した暗黒の激流の中、魂は消滅を免れて闇にたゆたい続けてきた。それが幸か不幸かは別として、ね」


 フラムの頭上に、彼女のイメージが拙い絵画となって現れる。

 それは幼子のラクガキにも似て、だからこそ筆先に込められた感情が如実に伝わってきた。到底真っ当とは呼べない自らの出生に対する、苦悩と自己嫌悪が。


「やがて負の情念たちに触れるうち、空白だった魂に自我意識が芽生え始めた。怒りと嘆き、悪意と欲望を栄養にして育った、ヒトでもマモノでもないどっちつかずの歪んだ生命……それが私の正体よ」


 黒炎で鋭い鉤爪を手足に生やし、道化を演じるようにクルクルと踊るフラム。

 歪んだ笑みに滲む自虐は、パパとママを欺いたという罪悪感のためか。


「だから本当は、あの二人の子供でもなんでもない。ぜーんぶ嘘っぱちなのよ」

「そんなことはない」


 俺は断固たる口調で、フラムの自責を否定する。


「ここに飛び込んで、フラムの《闇》に触れてわかった。お前の黒い炎の源泉は、家族を踏み躙られたことへの怒りだ。アリスがそうだったように。彼女と同じ憤怒がフラムの中にある。それも、俺がお前を放っとけなかった理由の一つだったんだ」


 歩み寄り、黒炎が燃ゆる異形の手を、黒雷を纏った同じ異形の手で握り返す。


「たとえ血の繋がりがあるとは言えなくても、お前とあの二人は間違いなく家族だ。そして家族を想って怒れるお前は、紛れもないヒトの心を持っている。姿形なんて問題じゃない、ヒトらしく在ろうとする意思こそが大切なんだ。ヒトに生まれただけの、ヒトの皮を被った畜生どもより、お前はずっとずっと立派にヒトだよ」

「――ふふっ。あんたなら、そう言ってくれる気がしてたわ。でも、そうね。私がヒトらしく在ることができているなら、それはタスクのおかげでしょう」

「俺の?」

「そう。……邪神は封印を完全に破るため、さらに自分を引き上げてくれる、強い闇の力の持ち主を必要としていた。そしてタスクに目をつけたのよ。アリスの死で闇の力に目覚めた五年前からね。封印の綻びからパパを通じて伸ばした触角で、邪神はずっとタスクのことを観察していたの。そしてその触角には、私の魂も紛れ込んでいた」


 十分に近かった距離を、フラムがさらに一歩詰めてくる。

 俺の頬に両手を添えて覗き込む深紅の瞳に、吸い込まれそうな心地を覚えた。


「私は、ずっとタスクを見つめ続けてきたの。タスクが《闇》を介してアリスの記憶と感情を垣間見たように、私も《闇》を介してタスクの心を見た。あんたがなにを憤り、なにを憎み、なにを尊び、なにを愛してきたか、その全てを」


 再び頭上に浮かぶ、絵画のラクガキ。

 そこに描かれていくのは、一人の少年だ。灰色の髪に赤い目、凶悪な顔。

 怒りに任せて暴れ回る様は、どう見たって悪役だ。


「俺のことにやたら詳しかったのも、それが理由か」

「誰もが自分の闇に溺れ、他人から奪うことしか頭にない濁った目をする中、タスクだけは違った。無情な社会を憎んで、無関心な人々を憎んで、無慈悲な世界をいつだって呪いながら。それでもタスクの目は希望を捨てていなかった」


 フラムの描くラクガキの中で、少年は常に憤り、叫び、暴れていた。

 忍耐がない愚か者だと、邪悪に溺れる罪人だと、誰もが眉をひそめ嘲り笑う。


「たとえ踏み躙られても失われても、信じた希望の形を疑わなかった。誰かが笑顔でいる温かな光景が、守るべき価値あるモノだと信じ続けた。信じることを諦めなかった。……だからこそあんたは、その希望を嘲って踏みつける邪悪を絶対に赦さない。タスクの怒りは希望を諦めない、絶望に屈すまいとする魂の叫びだった」


 しかし怒りに猛る少年の背には、常に伏して涙する誰かがいた。

 それは多数を救うためにと、天秤から切り捨てられた少数。虐げられ、踏みつけられ、見向きもされず「いなかった」ことにされた、救われぬ者たち。

 多数を敵に回し非難されようが、少年は決して彼らの前から退かない。


「血を吐きながら、涙に頬を濡らしながら、それでも正しき怒りを胸に抱いて。絶望を踏み越えた先の希望を目指す。――ああ、これがヒトなんだと思った。この魂の在り方こそが、ヒトなんだって。私もこんな風に生きられたなら、そう憧れた。その憧れが私を今の私に形作った。タスクの怒りが、私をヒトにしてくれたのよ」


 まるで誰に倣ったモノでもない、自分だけの英雄を書き殴ったような絵本だ。

 俺のことだとはとても信じられないくらい、憧れと信頼が伝わってきて。

 誇らしげでさえあるフラムの笑顔に、熱いなにかで胸が詰まってしまう。


「そして運命の夜、邪神はタスクの闇の力が十分に成熟したのを見計らって、あんたを取り込もうとした。《心鏡の影身》に起こった異常は、邪神が触角を植え付けて介入したからよ。でも、タスクが解放した真なる闇の力は邪神の引力さえ跳ね除けた」


 サラッととんでもないこと言われたような……もし負けてたら、俺は今頃邪神の眷族とやらにされていたと? 考えただけでゾッとするなあ、オイ。


「そして――ただの偶然なのか、タスクが無意識に私の手を取ってくれたのか。真なる闇が放つ引力は、邪神の触角から私の魂を引きずり出した。おかげで私は邪神から完全に独立して、一個の生命としてこの世に生まれ落ちることができたの」

「そういう、ことだったのか」


 なぜ気絶した俺の傍に居合わせたのか――から始まる様々な疑問に合点がいく。


 たとえば、聖都の至る所に目移りする、好奇心旺盛な様子。

 サンドイッチを食べたときの、幼い反応。

 どれも、生まれたてのフラムにとっては初めての体験ばかりだったからだ。


 そして俺にやたらくっついていたのは、初めての外界に対する心細さのため。フラムとっては、俺が唯一見知った存在だろうからな。……だからって裸で同じベッドに潜り込むのはどうなんだって話だが。実年齢〇歳だとしても、まず慎みを覚えてくれ。

 若干保護者気分の俺を余所に、フラムが表情を改める。


「でも、やっぱり私はヒトにもマモノにも成り切れない、紛い物の生命。こんな炎の体と怒りで狂った魂じゃ、真っ当なヒトの生き方なんて望めないしわからない。だから私は、この命の使い方を自分で決めたの」


 今度の自虐は演技半分。代わりに獰猛な笑みから伝わるのは、決して自分の決断を曲げないという意固地な決意だ。


「私は全部知っている。力に手に入れたタスクが、これからなにを願いなにを成していくつもりなのかも。胸の奥に押し殺した、騎士の道とは相容れないもう一つの願いのことだって。騎士であることを貫いても、騎士であることを捨てて怪物に堕ちても。どちらの道に転ぼうが、誰とも寄り添えないひとりぼっちの道だと覚悟していることも」


 ああ……やっぱりそこまで見透かされているのか。


 俺が選んだ道は、どう言葉を尽くそうが結局はただのエゴだ。この憤りを押し殺して生きてはいけないから、この怒りに全てを捧げると決めた。道理に背き、人道に背き、日の当たる世界に背を向けて歩む暗がりの道だ。


 俺の独りよがりな我儘に、誰も巻き込むべきじゃない。付き合わせるべきじゃない。

 ましてや誰かが傍にいて欲しいだなんて、許されるはずが――


「だから、私がタスクについていく。たとえどちらの道を選んでも、世界中があんたを悪だと詰っても。誰があんたの傍から離れていこうが、私はタスクから離れないし離さない。この世界で唯一不変の、タスクの永遠の共犯者になってあげる。あんたと一緒に地獄まで落ちてあげる。これは、ヒトでない私だけができること」


 なのに。フラムはそう言ってのけて俺に笑いかける。

 悲壮感の欠片もない、むしろ役得とでも言わんばかりの晴れやかな笑顔で。


「だからあんたは安心して、自分が決めた道を進みなさい。私が絶対に、最後の最後まで、あんたをひとりぼっちにはさせないから。っていうか――私みたいなバケモノをヒトにした責任、キッチリ取ってもらうわよ? 一生付き纏ってやるからね!」


 スビシ! と鼻先に人差し指を突きつけて、駄目押しに渾身の悪ぶった笑み。

 なんつーか、もう。ああ、もう! どうしようもないヤツだな、こいつ!

 一番どうしようもないのは、それを嬉しいと、救われると感じてしまった俺だが。


「ああ、わかったよ。俺もお前を離さない。――お前は、俺のモノだ」


 フラムの頬に手を添える。

 そして彼女が動揺しているのも構わず、胸の奥から湧き上がる熱に突き動かされるまま、誓いの口づけを重ねた。


 漆黒の炎と雷が、白い世界を斬り裂いた。


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