まな板の上の干しブドウ

尾形昭

第1話卓球部

高校新入生の教室。4月8日。前橋和弘は、教室内を眺め回した。一瞬、目が止まった。長い髪の細い子と、四角い顔の短い髪の子だった。


二人好きな子ができた。髪の長い方が市倉栄子。短い方が豊島京子と言った。和弘は、二人共、相手をすることにした。

栄子は気が強そうなので、普段はまじめな顔をして、「ニコッ」と笑って話しかけた。いわゆるツンデレである。

京子に対しては、おとなしい態度で接した。


「栄子ちゃんおはよう」

「和弘くん生物のテスト何点だった」

「93点、栄子ちゃんは」


「47点。ああ恥ずかしいよ」

「気にすることないよ」

と言って、ニコッと笑った。


「京子ちゃんおはよう」

「おはよう」

「京子ちゃん、何かしんどそうだけど、だいじょうぶ」


「ありがとう、ちょっと寝不足なの」

「気を付けてよ、体をだいじにしてよ」

「ありがとう、気を付けるわ」


和弘は、卓球部に入った。

栄子も京子も卓球部に入った。嬉しかった。

6月にインターハイの大阪府予選が有るので、2・3年生は、その練習で必死だった。


そのため、1年生だけで練習をした。1年生の男女が一緒に練習した。

「栄子ちゃんロングやろう」

「ええ、いいわ」


「京子ちゃんラリーやろう」

「ええ、いいわ」


練習のあと、1年生は、体育館のあとかたずけと、モップかけをした。

帰り道で、コロッケやたこ焼きを買った。



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