私の愛しい死神様

くれない れん

 男がいた。

 ぼんやりした私の横にいつの間にか知らない男が寄り添っていた。

「具合悪そー。大丈夫?」

 そう言って、彼は私の顔を覗き込んできた。

 私は朦朧としながら、意識を手放す前に言葉をひねり出す。

「誰……?」

 男は、薄く笑って「さー、誰だろーね?」と顔を背けた。

 そして意識を手放す前の私の耳に、低く甘い声が飛び込んでくる。

「死神、って言ったらお前信じる?」

 ああ、なんだ。

 死神か。

 私は妙に納得しながらそのまま意識を手放した。

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