第1話「厄災を纏うもの」
第1話「厄災を纏うもの」
1999年7月
空から恐怖の大王が来るだろう
20世紀の終わりが近づく頃、そんな終末論が流行ったらしい。
俺たちが生まれる少し前のことだから、その終末論に人々がどれだけ沸き立ったかは分からない。
結局、世界に終焉はやってこなかった。
代わりにあったこととすれば、迫る21世紀を祝福するかのように彗星群がこの星の夜空を駆け抜けたくらいだった。
……自分自身が生まれる直前の世界の出来事に興味を持つなんて、自意識過剰な歴史好きな奴か、その出来事のせいで何かを狂わされた奴のどちらかで、少なくとも俺たちは後者だった。
18年前の終末彗星の飛来、それは、世紀末を告げる宣告でもなく、ましてや次世紀へ向けた祝福でもなく、やがて来る大厄災への前触れに過ぎなかった。
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