ひとりランチ
宮津木 こはる
第一幕 ひとりランチ
もう少しで、退屈な時間が始まってしまう。カチッカチッという音と共に一刻一刻と時計の針は時間を示していく。大概、この授業も退屈だけれど、もっとそれ以上に退屈なのだ。
窓の外に映る太陽は丁度真上に来ているだろう。ここから見える誰もいないグラウンドは明るく照らされていた。私はそんなに明るい気分にはなれない。いつも正反対の気持ちでいる。
程なくして、チャイムが鳴って、昼休みが始まってしまった。
仕方ない様になし崩しの様にシャープペンシルを筆箱にしまい、教科書を机に突っ込んだ。
『一緒にご飯食べない?』
そういう誘いが私に向けて来る。
本当なら、断りたいのにどうしても断れないでいる。それは私がカーストとか人の目とか、そんなちっぽけな事を考えているからなのだろう。
【嫌だ・嫌だ・嫌だ・嫌だ・嫌だ】
どうせ、数合わせなのだ。私なんて居なくたって、彼女たちに取っては困らない事なのに......。わざわざ、私を呼ばなくてもいいのに。
『いいよ、いこ』
上っ面にネコを貼り付けて、笑顔でそう答える。たぶん、お面の下は死んでいる。
彼女たちの会話がノイズになって上手く聞き取れない。いや、聞く気が無いのかも。
私は今日もひとりランチだ。
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