短編習作１

短編習作１

　美味しいものを食べるのは大好き。

　それが好きな人と一緒ならもっとおいしくなるし、待ち時間もあっという間に過ぎていく。ひとりだと退屈だったし、実はどこか味気ないとも感じていた。

　今日も一緒に食べに行こうと伝えたら、笑顔でいいよと言ってくれた。その笑顔と、わたしの言葉に即答してくれたことも嬉しかった。

　最近流行しているシズル感満載で、ＳＮＳに投稿したら映えること間違いなし――だからこそ飽食気味とも言えるけど――のお店。残念ながら予約は受け付けていなくて、だから待つしかない。

　ふたりでお店に到着したら、すでに長蛇の列が出来ていた。何人どころか何十人近くいる。近くで行列を見張っている店員さん曰く、二時間はかかるだろうと言われた。

　ひとりじゃなくてよかったとわたしがつぶやけば。

　ふたりなら大丈夫だよねと返してくれる。

　そんな関係がいつまでも続けばいいな。そう思っても口にはしなかった。

　だって。

　そう思っていると信じているから。