第2話

誰かに呼ばれていると感じた隼人は、吸い込まれるように博物館に入っていく。

博物館の中に入ってみると、人で溢れかえっていた。あまりにも人が多く、あたりを見渡していると一人の女性が声をかけて来た。「宜しければ、本日は無料で展示されている、絶滅危惧種の生き物達が見られますのでどうぞご覧ください。」と笑顔で言われ隼人は「あ・・・ありがとうございます。」と返した。どうやらこの女性は博物館で働いている職員の人みたいだ。


隼人は博物館で働いている女性に「あの今日初めてここの博物館に来たんですけど・・・いつもこんな人で溢れかえってるんですか?

それとも今日は無料と言うこともあってこんなに人が溢れてるんですか?」と聞くと。


その職員の女性は、少し苦笑いを浮かべながら、「そんなことないですよ!今日だけじゃなくいつも人は入ってますよ」と返した。


その職員の表情を見た隼人は(あれ何か変なこと言ったかもしれない。)と内心思っていた隼人であった。



「こちらのほうに展示されている絶滅危惧種達の写真が掲載されていますので」と職員の方に小さいパンフレットを渡され、「これで写真と展示されている生き物達を照らし合わせて見てください」と言われると隼人はその小さいパンフレットをもらい。

絶滅危惧種達を見学することにした。


博物館を回っていると某動物園で飼育されている。絶滅危惧種も展示されていた。隼人は見たことない生き物に少しテンションがあがっていた。しばらく回っていると


ある絶滅危惧種に目を留める。その絶滅危惧種の名前はエモエモという生き物で、展示されている横にこの生き物の説明が書かれていた。この説明によるとこの生き物は今から150年前に実在した生き物で外見は物凄く特殊で違う生き物同士が混ざり合わさってできたと言われている。だがこの生き物に関しては、まだ謎に包まれていることが多く。明確にされていない真実が今後出てきそうだと書かれていた。


隼人は、この生き物の説明を読んで特別な感情が芽生えた。その時はまだこの感情の意味がわからなかったが、もう少し先にその感情の意味が分かるのである。


その帰り道


彼のポケットから(ぷるるる…)と音がなり、携帯を見てみるとその電話の相手は、長谷川輝彦と書いていた。この長谷川輝彦と言うのは獣医で働いている隼人の父親である。だが、彼はその電話に出ようとしなかった。

彼が出ないと言うこともあり、その着信は少しの間ずっと鳴り響いていた。

一向に出ない彼を父親はあきらめたのかその着信はポツンと切れた。

やっと着信が切れた彼はほっとした表情で携帯を見た。(良かった。電話切れてくれて)彼の父親は獣医の延長線で、野生動物の繁殖に携わる仕事もしている。そのため今現在日本にはいないのだ。

でもなぜこんなににも彼が父親の電話にでたがらないかというと。彼の父親は獣医ということもあり、かなり厳しい面を持っている。今まで生きてきて挫折を味わったことがない父にあまり良い印象をもっていなかった。


就職活動に関しても落ちたことがなくストレートで第一希望に受かった経歴を持っている。今の彼とは、正反対の人生を歩んでいるため、父親の電話には出たくない隼人であった。一週間後この前の面接も落ちてしまった隼人は家の中で、ひたすら面接練習や志望動機を書いているとインターホンの音がした。(誰だろうこんな時間に)と思った隼人はインターホンがあるリビングにいき、インターホンの画面を覗いてみるとなんとそこには、海外で仕事をしている。父の姿があった。

















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