猫耳少女と出会ったんですが、お持ち帰りしてもいいですか?
花林糖
第1話 ネコを拾った日
この春から大学に通うことになった
自宅から遠く離れているため、家族から賛成こそされ、反対などされる筈もない。
1LDKのアパートを借りて、初めての一人暮らしを始めた貴紀だが、部屋代と学費は親が払うが、その他生活費はバイトして稼ぐ事になる。
バイト先もあっさりと決まり、学業と並行する生活を送る貴紀は、忙しくも充実した日々を満喫することになる。
「…………」
そんな時、バイトの帰り道で見つけた。
(可愛い女の子……もといネコだ……)
ダンボールに『拾ってください』の文字が書かれたベタな展開で、可愛い雌ネコが捨てられていた……。
(でもうちにネコを飼う余裕は……猫ならまだしもネコだもんなぁ……)
この世には『ネコ』と呼ばれる体がほぼ人間で、猫耳としっぽと習性が猫によく似た生き物がいる。
(体の大きさからして……子供ネコっぽいよな? 大人しくて毛並みも綺麗だから、きっと良い暮らしをしてたんだろうな……)
ネコは猫と違い体は人間そのもので、食費は人間一人分と大差がない。猫とは違い知識も高くて人間の言葉も普通に喋れる。
知能は猫<ネコ<人間である。
「にゃ……」
(うっ……ひ、拾いたい。しかし──っ!)
ネコの成長速度は、人間で言う十五歳くらいまではあっという間だが、その後は人間とほぼ同じくらいにゆったりとなる。
(見た目はもう十歳? つまりあと二ヶ月もすれば──)
大人ネコの仲間入り。
約十五歳くらいの体つきに成長する。
「食事と……それから洋服代だって掛かるんだよな? 何よりこの子は雌ネコで……」
ネコである以上は、人間の知能を超えることはないが、体だけは立派な人間。
猫耳としっぽがあるくらいの違い……。
(彼女すらいた事ないのに……こんな、将来超絶美人になりそうなネコと同居っ!?)
ムリムリムリッ!!
貴紀は葛藤して、何度も何度も箱の前を行ったり来たり行ったり来たり……。
「ただいま……」
「にゃ〜♪」
手の中に女の子──もとい、ネコを抱えてアパートの玄関を潜った。
「ひ、拾ってしまった……」
「にゃー?」
これがのちに、ティアと名付けられるネコと出会った時の出来事であった。
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