夢の中ではプリンセス?
篠宮玲
これが、逆ハーってやつ?
(ここはどこ?)
そう呟いたのは、
あたりを見回した。
そこには、天蓋付きのベッドがあった。
(なにこれ?)
その時、
トントントン
部屋のドアがノックされた。
「プリンセス?いらっしゃいますか?準備は?」
「えっ?はっ、はい」
慌てて返事をすると、ドアを開けて見慣れない男性が入ってきた。
「プリンセス、いらっしゃるじゃないですか。早く準備をして下さい。あちらにドレスが用意してありますから…」
ポカーンとしている紗来に、早口気味にその男性が言った。
すると、男性の言葉に疑問を持った紗来が
「あっ!あの…」
「何か?」
「プリンセスって言いましたよね?何かの間違いじゃ…」
「はっ?何を寝ぼけたことを…。あなたはプリンセス、サラでしょう」
「私は、プリンセスなのですか?」
「だから、そう言っています」
「じゃあ、あなたは?」
「私は、あなたの…恋人。と言いたいところですが、プリンセスの執事です」
はぁ…と紗来が感心をしていると、
トントントン
またノック音が聞こえた。
「プリンセス?」
そう言いながら、ドアが開かれるとこちらも見慣れない男性が立っていた。
一言で言うなら、カッコイイ人。
紗来には、その印象だった。
歳は紗来と同じか少し上といったところだろう。
着ている服も見たことがない豪華な装飾をあしらったものだった。
「リヴ様、もう少々お待ち頂けますか?」
「アリ、いたのか」
「はい。プリンセスが、寝ぼけているみたいで…」
「無理もないよ。連日の公務だったんだから…では、ボクは部屋の外にいるから準備が出来たら呼んでくれ」
リヴと呼ばれた男性は、そういうと部屋から出て行った。
すると、紗来は
「あの人は…?」
執事のアリに尋ねた。
「はっ?まだ、寝ぼけているのですか?彼は、プリンス候補第一位のリヴ様です」
「(プリンス候補)えー!!」
紗来は、盛大に叫んだのだった。
その後、ドレスに着替えさせられ、そこでまた現実離れした話を聞かされる。
(彼は、プリンス候補第一位のリヴ様で、プリンス候補は他に2人いらっしゃいます。今日はその中の1人を選ぶお披露目会なのです)と。
そして、現在に至る。
「はぁ…」
と溜息をつきながら、重いドレスに身を包み、会場へと移動した。
会場に着き、扉を開けると見たことも無いシャンデリアや煌びやかな装飾品などがあった。
「あぁ!プリンセスがいらっしゃった」
と駆け寄ってきたのは、先程のリヴ様とは違った風貌の男性。
「プリンセス、こちらはプリンス候補第二位のロワ様です」
「プリンセス、本日はよろしくお願いします」
そういうと彼は、しゃがんでプリンセスの手の甲に口付けをした。
紗来は、戸惑いながらも
「あ…ありがとう」
と返事をした。
「あの…アリさん」
紗来は、隣に立っていたアリに
「プリンス候補って、3人いらっしゃるんですよね?」
「はい、その通りです」
「では、もう1人はどちらに?」
そう尋ねると
「あっ!申し遅れました。私がプリンス候補第三位のアリと申します」
そういうとアリは、しゃがんでプリンセスの手の甲に口付けをした。
「えー!あなただったの?」
「先程、申しましたでしょう」
紗来がそんな反応をしていると、リヴとロワもやって来て…
「アリだけ、ずるいな」
とリヴ。
「ボクもいるんだけど…」
とロワ。
「こういうのは、早い者勝ちです」
とアリ。
「プリンセス…」
「…来…紗来、起きて!昼休み終わるよ!」
「ん~」
「紗来ってば!」
そういって、紗来を揺り起こすと
「わぁ!ビックリした!」
「やっと起きた!昼休み中、ずっとニヤニヤしながら寝てたけど、どんな夢を見ていたの?」
と彼女が尋ねると
「ん~、あんまり内容は覚えていないけど、すごく幸せな夢だったよ」
紗来がそう言った時、
授業、始めるぞ~
と先生が入ってきた。
(カッコイイ男性に囲まれて…アレが逆ハーってやつ?)
本当は、紗来は夢の内容を覚えていたけど、自分の中の秘密にしようと決めたのだった。
END
夢の中ではプリンセス? 篠宮玲 @sora-rei
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