傷痕
籔田 枕
短歌集
足を病み 辞めると誓ひ
早三年(みとせ)
腐(くた)れる如く 膿を生む爪
死になむと
遺書を認め凍へたる
宵暗(よひやみ)の室(へや)の隅にほの見ゆ
遠き日に
何が成せるか 考へむ
――思ひ浮かばず 寒き手を眺(み)る
一寸(ちよつと)だけ 火傷したてふ
友の腕 ただれても猶
笑ふに愛し
そこな翁
あはれ札束 握りしめ
あはき夢追い どこ行くどこ行く
塩水の 飲めば飲むほど
乾けるを
人の欲 是違(たが)はざりけり
今度こそ 死なむと
刃 頸(くび)に宛てる
傷痕三筋(みすじ) 絶望に触(ふ)る
傷痕 籔田 枕 @YabutaMakura
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