馬ガチ勝負!〜馬鹿でガチな勝負〜

@mangan

第1回戦 受け流すマンの恐怖

「...今日も、この時間が来たか」


今は奴との勝負の時、いつもこの時間...日が落ち月が登りあたりが静寂に包まれたこの時間


俺の戦いは始まる。


奴は強敵だ、ほぼ毎回俺が勝ってるとは言えど毎回苦戦を強いられる。


奴が最強たる所以は《完璧な受け流し》である、攻撃の頻度こそ少ないが殆どの攻撃を弾き、跳ね返し、躱す。


そんな奴への俺の勝利条件は今左手に持っているこの機械を奴の弱点にぶっ刺してそこから大量の電流を流し込んでやることだ。


ブチっ!


戦いの音が鳴る、それと同時に今俺がいる部屋は奴の結界内に引きずり込まれる。


奴の結界の効果はただ《辺りを暗くする》だけと言うしょうもない効果なのであるが奴はこんな暗闇の中でさえ完璧なる受け流しをして見せる。


「はぁっ!!」


俺は試合開始直後に右手で奴を掴み、左手に持っている機械を思いっきり奴の弱点へと叩き込むと言う行動を取る。


この行動は何時も開戦時に俺がやる戦法だ。


まぁ、ただ単純に暗くなる前の景色を覚えているだけに過ぎないのだが


ガリッ...


勿論そんなうまくいくことなどそうそう無く、やはり受け流される。


「くっ...やはり流石だ」


俺は受け流された左腕を直ぐに攻撃体制を取らせ、再び弱点に向かって攻撃をする。



奴の弱点はとても小さく、小指の爪の先端が少し入るぐらいの大きさであり弱点にぶち込む機械の大きさはその穴とほぼ同じ大きさなのだ。


そう、この弱点ほんの1mmズレが生じるだけで完璧に受け流される。


今は右手で奴をつかんでいるので動きはしない...と、言うより奴はよっぽどのことがない限り動かないのだ。


まさに舐められるいるとしか思えずに何時も屈辱を感じている。


「今日こそはお前を動かしてやるっ!!」


ガッ!


幾千もの戦いの末俺は成長していた...この暗闇の中、こんな小さな弱点を正確に狙うことができたのだから...が、


しかし、何となく分かった。


この攻撃が奴の弱点を完全に捉えきれていないことに...


「な、斜めっているッ!今俺が突いた機械は奴の弱点の穴に斜め45°角度がついて入っちまってるんだァー!」


だがしかし、弱点の穴を捉えていることに変わりはない。


ここからより押す力を強め奴の悪あがきをここで終わりにして今回は早期決着、俺の完全勝利で幕を閉じさせてもらうッ!


押す強め始める。


徐々に機械の角度も90°に近くなってきて80°ぐらいになった時、奴が遂に


スッ...


「きっ、消えた...いや、違うッ!」


上だッ!!


奴は俺の手が手汗を書き始めてうまく掴めなくなっていることに気がつき、機械を弱点に突き上げる力をうまく利用して天高く舞い上がったのだ!


奴が俺を見下ろす姿に幻聴が聞こえ始める。


「俺の方が一枚上手だったな」


「俺も負けてばっかじゃいねぇーんだぜ?」


そんな自分を嘲笑う声が聞こえた気がしてまた奴を掴む為に左手に持っていた機械を離し、真上にあげる...が、


「い、いない...」


奴は黒を纏い結界内で有利に動けるようになっている。


そう脳内で考えた時には体を起き上がらせるために使っていた右腕を咄嗟に下に伸ばしていた。


すると、上に居たはずの奴が下に伸ばした右腕に触れる。


しかもその高さは床まで残り30cmしかかなかった。


「不味い...負けるッ!!」


実はこのルールでの奴の勝利条件が《床に触れる》なのだ。


そんな最初期に決め、今の今まで使って来なかったルールを咄嗟に思い出し落ち行く奴を掴みとる。


が、ここで奴の力を思い知らさせる。


こんな状況で、奴も勝利を確信したであろうこの状況で奴は、《完璧な受け流し》をして見せたのだ。


確かにあの時俺は焦っており手汗も多少かいていた。


だが、あの集中力が大量に必要であるような《完璧な受け流し》を完璧に成功させまたもや天高く舞い上がったのだ!


「うわっ!」


俺は右手で奴を掴みとり起死回生の一撃を放とうと思っていた時にそんなことをされたのでバランスを崩して左側に倒れてしまう。


だが、勿論こんな事は予想できる事だ。


「おいおいお前よォ〜まだ俺は諦めちゃいねぇーんだ、これからなんだよ...起死回生の一撃は!これからだッ!!」


左に倒れた体を左手一本で支え、バネのように使い思いっきり右へ倒れる。


そして右に倒れる途中、目の前に奴が来る。


暗くてよく見えないが俺からすると、奴は今恐怖の感情に苛まれているように見えた。


左腕を前に出し、奴を掴み取ろうとする。


凄い勢いで回転しながらのキャッチなので不安がまだあるが、俺の左手は奴を完全に掴んだ...はずだった。


奴は何とそれすらも《完璧な受け流し》をし、受け流した反動を下に向けてより早く落下し始める。


その時の奴のは多分、勝ちを確信していたのだろう。


そこが、勝敗を決した。


俺は加速した奴の弱点に向かって機械...充電器をぶっ刺したのだ!


今度は完璧だ。


完全に入った。


「な、なぜ、離したはずのそれを持っている...んだ?」


奴...スマホがそう話しかけてきた気がしたので答える。


「左腕をバネのようにしてキャッチしに行ったろ?その時に空いた右手で拾っといたのさ」


こうして、今日の戦いは一味違う戦いになり、これからもその戦いは続く

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