さびしさ

ふとしたときに見せるあなたの苦しそうな表情に気付かないふりを続ける私。


あなたが言わなくても解っている。


私から離れたいんだね。


それは確かに私が望んでいたことなのに、どうしてだろう……。


思わずあふれる涙。


あなたに離れてほしくないなんて、私どうかしているね。

今まであんなにあなたから離れようとしていたのに。


今、私の心を占めるのは

あんなに愛した彼との優しい日々じゃなく

あなたが離れてしまいそうな不安。


ワタシヲ、ヒトリニスルノ……?


ソバニイル、ズットイルヨ、ト

ヤクソクシタノハ、ウソダッタノ……?


いいえ、違う。

私があなたを困らせてばかりだったから。

あなたはいつだって嘘はつかなかった。

そんなこと分かっているのに。

この胸の痛さをあなたに押し付けようとしているのは私。


部屋に飾ったシラーの花弁が風もないのに床に散らばる。


まるで、壊れてしまった私の心の欠片のよう……。


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