第3話 パチプロ

ボーロンが昔の若かった頃

月日は流れ、峰良也は「ソクラテス」から「三浦つとむ」くらい迄「ベンサム」から「ロールズ」迄読破したと豪語する傲慢な少年となった。彼は妹を後ろから抱きつかせバイクを乗り回して…、受験勉強することもなく合格できた東京都西北にある私立大学へ進学のため上京し、更に二十年が過ぎようかという頃。

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その頃の私はインテリヤクザと言われたりしていた。広域暴力団と呼ばれる団体の傘下のある組織に属していた。オヤジが別口で、趣味(オヤジは本気)で右翼やってるような団体の幹部だった。誰にも、俺の前で暴力団と呼ぶ事は許さない、俺がいたのは暴力団ではなく任侠団体なんだよ!おっと地が出たようだ。暴力団にはなりたくないから私はインテリヤクザだったのだ。まあシノギの為だ。意地でもインテリ気取って通した。


その頃の俺は、もう俺でいいか。スナックを三店舗とナイトクラブ。サパークラブも経営していた。ピアノ奏者とギターの弾き語りをする二人、歌手の女の子を一人雇っていた。儲かったよ。裏でシノギの仕掛けをしていたしね。まあお察しの通り、俺は女たちを守って娼婦の守護者でもあったのだね。女たちはみんな自由だ。強制なんてしない。俺は女の子の味方で守っていたんだ。店の女の子たちはスタッフだから客は取らせないよ…。それより、一番儲かってたのは大手ゼネコンの二次下請けだったね。飯場と呼んではいたけど実際にはゼネコンが土地見付けて建物も用意してくれた宿舎なんだ、投資も殆どなしで管理するだけ。ゼネコンが払う金の半分くらいが土工さんの日当だったから、いい商売だよね。


探偵社もやっていて、こっちは。俺は任侠団体の幹部だった、だ。そっちで時々手伝わせていたのが自称パチプロの鵜殿だった。長身痩躯の髭の剃り跡の青々として、一見爽やかでなかなかの美男だった。その鵜殿の奥さんが潤んだ青い瞳で俺を見つめてくる秋田美人だったのだ。

(身体言語で俺に愛を囁いているのを感じたよ) 

半年後には「次の世があれば次の世も、その次の世があればその次の世も、僕は君を愛し続ける」と真面目な顔で言うことになってしまった。


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まさか異世界に転生してバッシャ船で航海する事になるとは想像する筈もなかった。

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