素敵な笑顔
暗黒騎士ハイダークネス
第1話
俺の1日の朝の目覚めは、ほどほどにうるさい目覚ましの音から始まる。
「ふぁ・・・ん・・・」
今日の目覚めは、昨日は少し英語の予習をしていたせいか、普段よりも若干眠気がまだあった。
そのせいか、俺は少しばかり布団から出たくない気持ちにもなるが、何をするにもまずは、この布団出なければいけない。
俺は上半身だけを起こし、伸びをしていざ起きるという気持ちを作る。
布団を出ると、素足のまま足を床に地面をつけたせいで、床の冷たさが地肌からダイレクトに伝わってくる。
「はぁ・・・冷たい」
そんな独り言を呟きながら、タンスに靴下を取り出して履いてから、自室からリビングまで降りて、家庭用ロボットに朝食のメニューを注文しておく。
注文した後は、軽く家の近くの公園でジョギングをして、完全に目を覚ましてから、家へと戻る。
『お疲れ様でした、朝食の御用意ができております』
無機質な手から渡されたタオルで、顔から出てきた汗をふく。
いつもなら、朝食はジョギングの後、シャワーで出ている汗を流すところなんだが、冷めた朝食を食べるのも、それを再び温めなおしたのを食べるのも嫌なので、先に朝食を食べることにした。
「・・・」
広いリビングテーブルで1人、まだ湯気の出る温かい朝食を食べる。
そばにいるロボットは不必要なことは喋らない。
いつものように食事の味は美味しかった。
そして、食べ終わったのを確認するとすぐにロボットがこう言う。
『お下げ致します』
そう言い下がったロボットを一瞥した後に、俺はジョギングで出た汗を流しすっきりとするためにシャワーを浴びに行く。
「ふぅ・・・」
さっぱりして、浴室から出ると、バスタオルと下着と学校の制服がいつものように用意されてあった。
身体を拭いてから、制服に着替える。
「今は何時何分だ?」
ロボットに向けてそう話しかける。
『7時10分でございます』
少し家を出るのには余裕があるか・・・リビングで1人、鞄から小説を取り出し、読み始める。
ぱらり・・・・・・・・・・・ぱらり・・・・・・・
『まもなく登校時間です』
ロボットに設定していた音声が流れた。
俺は本を読む手を止め、あらかじめまとめてあった鞄に忘れ物がないかを軽く最終確認をしてから、家を出る。
『いってらっしゃいませ』
見送るロボットを背にして、何も言わずに扉を閉める。
いつもの通学路、俺は1人で登校している。
・・・別に知り合いがいないというわけではないのだが、ただ親友が通学路が違う方向のだ。
ただ1人だからか、それとも俺がこの学校の生徒会長だからなのか、すれ違う同じ学校の生徒には少しは注目される。
だが、話しかけてはこないし、挨拶もこっちがしなければ返されない。
だけど、今年同じ生徒会に入った女子生徒は違った。
「橘せんぱ~い!」
後輩女子は俺を見つけると、長い髪を揺らしながら駆け寄ってきて、いつも積極的に話しかけてくる。
「朝からうるさいぞ、花宮、それと挨拶」
嬉しくもある反面、少しそっけなく返事をしてしまう。
「えへへ~おはようございます!橘先輩!・・・あ!そうですそうです!昨日うちの家の近くにある場所がテレビで放送されてたんですよ!!」
小さくお辞儀をしてから、俺の言うことなんて構わずに、毎回近くで彼女は楽しそうにいろんな話をしてくる。
俺は適当に相槌をしながら、彼女の楽しそうに話す横顔を見ていた。
「・・・綺麗だな」
ふと、ぼそりとそんなことを呟いてしまった。
はっ!となって、顔を赤く染まってしまう寸前に彼女が凄い勢いで食いついてきた。
「そうです!そうなんですよ!!先輩、そこはめちゃくちゃ綺麗で有名なんですよ!秋の名所100選にも選ばれてて、秋になると人が来るんですよ!でもでも、近所に住む私からすれば!!邪魔なんですよ!!!分かりますよね?先輩も近くの家なんですから!!」
そんな少し赤くなった顔を横に向けて話を聞く俺のことなんて、彼女はあまり気にせず、変わらずに楽しそうな声で話す。
そのころころと話すたびに変わる彼女の表情はとても面白く、なぜだかとても俺の心を満たしてくれる。
「ふっ・・・そうだな」
「あ!今私のこと笑いましたよね!!ひどい!!」
様々な表情を俺に見せてくれる彼女との学園での1日が今日もまた始まるのだ。
素敵な笑顔 暗黒騎士ハイダークネス @46_yuu_96
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