猫の使い魔Ⅱ 封印結界旅日記
NEO
前話 この二人、破壊神につき……
「アルマ・コルテアにレオン・ギルバートか。元人間と元変な猫のコンビだぜ。揃っていずれは破壊神だって。なんだか、バカ臭い話だよ!!」
草原の中に仰向けにひっくり返ったアルマが、空を眺めがならいった。
「僕だってそうだよ。マタタビ酔いした馬鹿野郎でも、ここまでの与太話はしないでしょ」
アルマの隣に転がって、僕は笑った。
「それにしても、ここが君が作った結界の中なんて思えないね。普通に空まであるし!!」
アルマがそっと身を起こした。
「細かく説明しても意味ないからやらないけど、ここは僕が知っている知識を総動員して、何重にも張った結界の中だよ。まあ、ちょっとやそっとじゃ壊れないけど、実は術者である僕は簡単に解けちゃうっていう欠点があるから、完璧な封印結界じゃないんだよ。ここをどうにかしないとさ」
アルマが僕を抱え、そっと背中を撫でた。
「ニャンコが、ここまでやれれば十分だろ!!」
アルマが笑った。
「……そういう考えが嫌なの。妥協していいところか?」
「……始まった。この、シンキングタイム」
アルマが僕抱えたまま立ち上がった。
「術者が君しかいないなら、他の手段なんてない。つまり、考えてても無断だろ!!」
「まあ、そうなんだけどね。妥協していいところだね。どうにもならないから」
僕は小さなため息をついた。
アルマ諸共、自分を強固な封印結界の中に閉じ込めるなどという、冗談にしてはやり過ぎな事をやっているが、もちろん冗談ではない。
いわば、僕もアルマも纏めて本物の破壊神にされたようなものだった。
そこで、まだ完全に飲み込まれないうちに、こうして誰にも迷惑を掛けないように封印結界に飛び込んだというわけだ。
「それにしても、ここって本当に結界の中かよ。普通の草原にしか見えないぞ!!」
アルマが小さく笑った。
辺りは特になにもない、ごく普通の光景だった。
「正確にいうと、元の世界と切り離されている亜空間を強引に切り裂いて、その空間を弄ってこんな感じにしたんだ。村もあるけど誰もいないよ……そう、誰もいないんだ」
アルマに抱かれたまま、僕はため息を吐いた。
「いいじゃん。誰もいねぇなら好き勝手遊んでやろうぜ。ぶっ殺していい奴、さっさと量産しろや!!」
アルマが僕を地面に立たせると、そっと剣を抜いた。
「……げ、元気いいね。ぶっ殺していい奴か。適当にドラゴン辺りにしておくよ」
「おう、ドラゴンか。朝メシの代わりにちょうどいい!!」
アルマ剣を構えて笑みを浮かべT。
「……なんでこれが代わりになるのか分からないけど、いくよ」
僕は苦笑して、呪文を唱えたのだった。
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