やっべ...死んだ...

34

「...はあ...!?なんで急に雪降って...」

「あんた!急ぎなさい!遅れるよ!」

「っ...天気予報なんてもう信じねえ!急がねえと!」

「ご飯食べてく!?どうするの!?」

「いや、食ってる暇ない!着替えしたらもう行く!」

「どっかでなんか買って食べなさいよ!」

「あー分かった!...っしゃ行ってきます!」

「気を付けなさいよ!」


もはやお分かりの通り、突発的に雪が降りだし、もう10センチ程積もっている。

そしてそれがどんな問題を引き起こすか。

それは俺の通学方法が原因だ。


自転車通学である。


雪ならバスか電車か徒歩で行けよバカ、という声が聞こえてきそうだがそうは問屋が卸さない。駅やバス停までの距離を考えると残念ながら自転車が一番早い。(誠にどうでもいい話をすると作者のことである。とはいえ作品自体はフィクションということでお願いしたい。)


「あー...雪えぐい...」


当然ながら積もった雪の上を自転車で走るのは非常に疲れる。雪のせいで重いのはもちろんだが、まだまっさらな雪の上は頑張れば漕げる。


問題は...、さっそく現れた「歩道」である。

世の中には早起きの方が多いようで、歩道には足跡がたっぷりついている。そこを自転車で走ると......


「あああああ...めっちゃ揺れるし...あっぶね!すっごいタイヤ持ってかれる!」


お分かりいただけただろうか。揺れるしタイヤはどんどん持ってかれる。全く安定しない。右へ左へという表現はこのときのためにあるんじゃないかと思っているんだがどうだろう?


......もういやだ!車道に出る!


そう思ったのがバカだった。


雪は確かに少ない。が、すっごい滑る!

そしてブレーキは前輪側は雪でほぼ効かなくなってきているし、止まらねえ!


...なんでこんなときに「止まるんじゃねえぞ...」とか思い出しちゃうんだろう俺って...。


とはいえなんとか車にぶつかる前に歩道に突っ込ませることに成功(成功とはなんだろうか)した。歩道に雪がたっぷりあってよかった。

歩道の状況も悪いが車道を走って転んで目覚めたら病院はいやだなあ...。

ふと時計を見ると...げっ!あと5分で遅刻だ!まだ全然近づいてねえのに!

これ...1時間目なんだっけなあ...


あ、


これ、死んだな


めっちゃ時間に厳しい先生の教科じゃん...。

遅れましたなんて言ったら授業時間じゃ飽きたらず放課後にも呼び出されるだろう...。


よし、急ごう。リスクとかどうでもいい。車道を爆走だ。


そう決めるとペダルを一気に踏み込み、後輪を滑らせながら車道に出る。

左側はほぼ通れないので片側2車線のよさをいかして、左側の車線と右側の車線の間を通り抜けていく。

...これって捕まるのかなあ...?そんあ不安もよぎったが気にしてはいられない。一刻もはやく着かなければ。まだ警察の方がましだ。



突然、落ちていく感覚を味わった。視覚は落ちていく、というより倒れていくという感じだ。緊張が走る。



地面は、柔らかく、暖かかった。


「あー...怖かった」


夢であった。しかも休日の。


「学校ねえ日に学校の夢見るとか損した気分だな...」


そんなときには、二度寝だろう。


これが幸せってものだろう。休日の二度寝。


次の目覚めは最高の目覚めであってほしい。


...いや、嫌な夢さえ見なければべつにいいかな。





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