第63話 『工場』 その6


 あの通路から、ロボットを使ってぼくを研究室につれこんだのはよかったが、詰めが甘かったのだ。


 すべては、予想の範囲である。


 マスコミ出身者をなめてはならない。


 最後の展開は早かった。


 何事もそうしたものであろう。

 


 それから、ぼくの仲間が発射した、小型潜水艦発射式核ミサイルが、この工場に着弾するまでの、ほんの少しの時間に、起こったことはこうだった。


 あの、マッドサイエンティストは、さっさと逃げ出した。


 直後に、自動音声らしい男声による警報が鳴り出した。


 『当施設は、現在攻撃されています。ただちに、シェルターに避難するか、施設から退避してください。』


 この、メッセージが、複数回聞こえていた。


 どこから、現れるのか、あのロボット化した老人たちが、多数目の前を行き来したが、ぼくにはまったくめもくれない。


 それは、非常にオカルト映画みたいな光景だった。


 その直後、ミサイルが着弾した。


 工場も、収容施設も、吹き飛んだ。




  ・・・・・・・・・・・・・・



 それから先、爆破された施設は、もはや再建はされなかった。


 なにか、他の施設が作られることもなかった。


 調査されることもなかった。


 つまり、長らく、廃墟になっていたわけだ。


 公式には、お蔵入りである。


 しかし、そのようなものは、実のところ、たくさんあるに違いない。


 




 ・・・・・・・・・・・・・・・・


             つづく


 

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