第25話 VS自動車教習所 序
自動車教習所に通い始めたのだが、今日初めて実際に運転をした。
教習所にまつわる話を書く。
まず、教習所に応募する前に、校長と知り合いだという今の職場のオーナーに紹介してもらい、普通の紹介の値引き額よりも多く値引きしてもらった。人生で最も意識すべきことは、コネだ。常にコネマップを頭に広げておくと良い。この話はフィクションです。
そんで応募した週から通い始め、初めての教習所ということで記事を書こうとしたのだが、何も書けない。書くに値することが全く無いのだ。想像の範囲内のしょーもない講義。既視感。もう、書くまでもなく皆が知っているアノ感じなのだ。
しいてエピソードを挙げるなら、俺はよほど飢えているのか、同期の女の子が全員可愛く見えて、もうなんとか話しかけられないかと考えていたのだが、やはり最近の若者は特に知らない人とベラベラ喋ったりしないので、教室内はシンと静まりかえっており、この環境で話しかけようものなら会話内容を全て聞かれてしまう静けさで、俺は座る席で悩んだりしたくないので不人気そうな最前列の一番奥の席を占拠し、ここは俺の国だからお前等は座るんじゃねえぞと言外に“圧”をかけていたので、そんなキショい席の近くは当然キショい男しか座ってなくて、その男達に話しかけずに飛び越して女の子に話しかけるのは無理だから、話しかけられなかったという話くらいしか持ち帰れなかった。
そんで、なんか教官の判子集める、なんちゃら原簿みたいな奴をロビーで配布している際、一人一人呼んで渡しているので時間に余裕があり、俺は早めに呼ばれたので尚更余裕があり、俺が座ったソファの前の席に、イギリスの姫みたいな髪飾りをつけた可愛い女の子が座ったので、なんとか話しかけようと思い、
「なんか色ちゃいますね(精一杯のフラットさ)」と、ちょっと周りを見た感じで、男女のバランスやらから、原簿の色の違いはATとMTの違いだと気付いてはいたのだが、アホなフリして話しかけて、
「あぁー↑でも白の人もぼちぼちいますね(戸惑いを含んだ小声)」
「あぁ(消え入るような声)」という会話をしたという話くらいしか持ち帰れなかった。
なので、担当教官と初めて会い、初めて車を運転する日ならば流石に面白い話を持ち帰れるのではないかと思い、今日という日を待っていたのだ。
だがやはり、実際に車を動かそうとも、俺の想像の範囲を出ることは無い。もうこの感じは知ってしまっているのだ。
必要以上に優しい教官。ある程度ミスるが、概ね上手くいく俺。優しさの裏の顔がチラチラ見え隠れする教官。なんかちょっとボケたりした方が良いかなと思い、次回は担当教官が違うという話なので、「僕のことなんて伝えるんすかw」と言う俺。俺が不安に思っているのだと勘違いし、必要以上の優しさでフォローする教官。半クラッチだけが下手くそなので、発進の練習を自主的にやってやる気を示す俺。ちょっと苛ついてるのが隠しきれない教官。多少グンッってなろうが問題なく動いてるんだから別に良いだろと苛つき出す俺。俺のハンドル捌きは少し力が入りすぎだと何度も指摘する教官。問題なく運転できてるんだから別に良いだろと苛つく俺。24歳にもなって、俺より運転は上手いのだろうが、俺より人間的に優れている所を一つも見せない人間を教官と仰ぐことに、自尊心が疼く俺。
すべて知っているのだ。
やはり俺は24歳なので、想像がついてしまう。また、最近仕事を週四に増やした事もあって、物書きへの(或いは人生への)モチベーションが大幅に落ち込み、それに伴い張り巡らせたアンテナの感度も落ちている。
教習所という新天地ですら、ここまで書けないとは……。
ただ同時に、前に書いた週四週三という詩が完全に過去のものとなったことは、書く事へのモチベーションを少しだが上げた。思い付いたことは即座に記録しておくべきだ。そのときにしか書けないものがきっとある。
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