斎藤博人は異世界に転生したい
サンサン
第1話 斎藤博人は異世界に転生したかった
ん?ここはどこだ?
目が覚ますと辺りは真っ白だ
「ええと、貴方は斎藤博人さん18歳ですね?」
声をたどっていくとそこには金髪碧眼の美女が椅子に座っていた
「ええ、はいそうですけど」
「最近の事は思い出せる?」
「思い出せますよ?確か旅行でバスに乗ってた筈ですけど…ここどこです?」
「驚かずに聞いてほしいんだけど貴方は交通事故で亡くなりました」
ん…ん゛?
「交通事故ってバスが爆発でもしたんですか?」
「なんで爆発?いえ、ちょうど貴方の乗っている所に車が突っ込んできて貴方だけ死んだわ」
「他の人はどうなってるんですか?」
「皆が無事で酷くて軽傷よ」
「なんで俺だけ!?」
「そんな事を言われても…即死だし」
「嘘だろ?これは夢なんだ!」
頭を抱えてしまう
「んな訳無いでしょうが…あと、あんたは良い方よ?寝たまま死んだから痛み感じてないし、そもそも貴方は両親が他界してて妹は居ても血が繋がってないじゃない」
「うぐっ」
確かに痛みを感じずに死ねたのは不幸中の幸いなのか?
「てか貴方の妹ヤバイわね色々と」
「そこまでヤバそうには見えなかったけど」
「まぁいいわ、取り敢えずこれからのことを話すわね」
彼女はそう言うと何処からか紙を取り出した
「まあ一番ベターなのは転生って奴かしらね」
ほう、やはりあるのか転生!知ってるよ?勇者でしょ!It'sハーレム!
「転生してもそこら辺の人よ?勇者になれると思いで?」
こちらの考えが顔に出ていたのか
『してやったり』と言いたげたな表情でちょっとムカつく
「いいえ?何を言ってるんだ?流石に勇者になれるなんて思ってませんけど」
最近は村人とかでもイケるらしいからな!
「いえ、貴方が転生すると芋虫ですね」
芋虫かぁ…芋虫ってあのキャベツとかについてる奴かしらん?
「それは青虫よ青虫」
「なんで考えてることがわかるだよ…」
「ちょっと考えてみなさい?いきなり転生希望で勇者して魔王を倒す―んな事出来るわけないでしょ!」
うわ~否定から入っちゃったよ夢ぶち壊してきた
「大体ね勇者したらハーレムになれる?バカじゃないの?なれるわけないでしょ?」
「お、おう」
「大体ね、勇者一行は全員『男』
よ」
「男一人で他女やってみなさい?最初は居心地良いかもしれないけど後から地獄よ」
「理性との勝負だし、風呂で一回鉢合わせとかしてみなさい?死ぬわよ」
確かに…軽蔑の目で見られそうだ
「そう言うこと考えてなかったわよね?」
「それ以外だと…ハーレムになってもそこから某アニメのようになっていずれ刺されるわよ」
怖い、ハーレム怖いよ、闇深すきるよ
「大体魔王倒す前に魔王クラスの闇抱えて魔王目前でシャットアウトね」
魔王が倒されない理由がわかった気がする
「さて、次はと…ここで働く「嫌だ」…ねぇ貴方それでも社会人ですか」
「いや、だってこれから転生先のウキウキ?ワクワク?した話のはずなのになんで転職先の話してるの?ここはハローワークかなんかですか?」
「ある意味ハローワークより大事なところよ!ハローワークと一緒にしないで!」
「ハローワーク舐めんな!」
「貴方はハローワークを貶したいのか擁護したいのかどっちなのよ…」
ため息を着くと改めてこちらを見てくる
「まぁいいわ、貴方には猶予を与えましょう」
「どれぐらい貰える?」
「適当でいいわよ?大事な選択なんだし、他にも色んな人がいるから、しっかり見ておいた方が良いわね、自分の参考にしなさい」
「その間俺は何処に居れば良い?」
「この部屋の左側側に控え室があるからそこで一時的に住みなさい、わかった?」
「…良いのか?」
「それですぐに死なれても困るのよ」
「ありがとう」
後から聞いた話だとここは案内所と言うらしい
「私の名前はユノよ、よろしくね斎藤、ユノでいいわ」
「こちらこそよろしく、ユノ」 ――――――――――――――――
さて、部屋に行こう
「失礼します」
部屋はベッドとテーブルなど、控え室と言うより普通の部屋である
ベッドに寝転がる
「転生かぁ」
別に勇者になりたいわけじゃない
まぁ憧れはある、モテたいし
でも、やっぱり憧れは憧れだ
一番の望みは不自由なく暮らすことかなぁ、他の人はどんな事を願って転生するのだろう
「ユノ?何かする事ない?」
「いや貴方は次の転生先考えなさいよ…」
ユノは頭を抱えながらこちらを見ている
「他の人を見てみたいんだ」
確かに考えなきゃいけないけど…でも、今自分には行って『何をしたいか』が決まっていない
「どんな望みが、願いがあって転生するのか…見届けたい」
「だから時間を下さい、お願いします!」
頭を下げる
「はぁ、特例よ特例、普通はこんなことしないんだからね?」
ユノは考える仕草をすると
「貴方は私の雑用をお願いするわね、その方が近くでみれるでしょ?」
「わかった。改めてこれからよろしく、ユノ」
「ええこちらこそ、改めてよろしく、斎藤」
「取り敢えず何をすればいい?」
「そうね、あと三時間位で次の人がくるからそれまで自由にしてて良いわよ?」
「ご飯って食べる?」
ってそう言えば控え室にキッチンがあったな
「あんまり、食べないかなぁ」
「えっ!?食べないの?」
「あんまり美味しいって思う物が無くてね」
うんざりした表情でユノが言っているが一体何を食べているんだろ?
「クッキー…食べたことある?」
「バカにしてます?あるわよそれぐらい!あれ美味しい?味しないわよ?
「ちょっとまってて、作ってくる」
「食べないからね!」
「はいはい、良いの俺が食べるから」
「材料は頭に浮かべると出てくるわ」
「わかった…え?それすごくない?」
部屋に戻った
「よし、簡単なのを作ろう」
―――――――――――――――
まず、ホットケーキミックスを150g用意して、砂糖適量、卵黄1、サラダ油適量を入れて捏ねます
そのあと冷蔵庫に30~1時間置きます
そのあと、好きな形に型どって
オーブントースター200wぐらいで少し焼いて完成。
―――――――――――――――
よし、出来た
控え室の扉を開ける
「何か甘い匂いがするわねっ!?それは何!?」
「いやクッキーですけど」
「クッキーって味がしない…ドングリだったかしら?」
「へ?ドングリ?まぁ食べてみなよ 」
「い、嫌よあまり良い思いで無いもの!」
「騙されたと思って食べてみなって」
「嫌よ騙されたくないもの!」
「子供かよ!食わず嫌いするな!」
「子供よ!あれを好き好んで食べる人が大人なら子供で良いわ!!何か悪いのよ!」
涙目になって必死にもがいてる美女の姿を見てると何かイケないことを強要してようでゾクゾクしそうになる
「んじゃ良いか、一人で食べるよ」
振り替えって部屋のドアノブに手を掛けたとき
「ちょっと待って!やっぱり一つ、一つだけちょうだい!」
多分今の俺の表情はものすごくニヤニヤして悪い顔をしているだろう
なので振り替えるときにニコニコした表情に切り替える
「良いよ?食べてみなっ!」
だがなかなか口にいれようとしない
「美味しいのに勿体ないなぁ」
その横で俺はクッキーを摘まんでいる
「い、頂きます…はむ」
その時ユノの目が見開いた
「お、美味しい…」
続けてもう一つ、もう一つと消えていく
勝った、俺の勝ちだ
「このクッキー美味しいわね!おかわり!」
「いや無いよ、そんなに作ってなかったし」
「何でこんなに美味しいのかしら?」
「なんと言うか…不思議な粉を使いました」
なんか不思議な粉って危ない奴みたいだな
「不思議な粉?名前は!名前は何!」
必死過ぎかよ、何でこんなに必死になるのさ
「実はね、あんまり味が着いた物は食べたこと無くてね」
「ほぇー」
文化レベル低いのかな?
「まあ、俺がここにいる間は色々と作るよ」
「本当!ありがとう!」
まあキラキラした顔をなさって眩しいこと…はい、ドキドキしました心臓にわるいです
「あの、すいません」
「「ん?」」
「目が覚めたらここに居たんですけど…」
時計を見ると三時間過ぎていた
「あはは、ようこそ…案内所へ」
さて、次は何を作ってもてなそうか
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