第11話 鬼嫁加わる

「美玲、このまま落とせ」

「えっ!モロ餌食よ!」

「いいからやれ!」

「もう!どうなっても知らないから!」

美玲は玉緒を美紀の真上に落とした。

美紀は金棒を振りかぶり玉緒を狙う、玉緒は振り被る風を利用し金棒の上に立つ。

「戻ってこいっ!美紀っ!」

玉緒はありったけの妖力を右手に込めお面をぶん殴る。

鬼の面はヒビが入りそこから光が溢れ出す。

「うわ!」

眩い光に目を閉じる。

ん?何だここは??つかあれって…

その光には幼い頃の美紀が見える、抑えきれない力で公園の遊具を破壊し、周りから鬼と言われ怖がれ続けずっと1人ぼっちで泣き続けた日々、1番苦しいのはその力でやっと出来た友達に化け物と言われてしまった事だった…

美紀にはもう本を読むしかできなかった、これなら誰も傷つかない、そして美魅は自分から周りに壁を作り身を守る事を選ぶしかできなかったのだ。

光の先に誰かしゃがんで顔を隠している。

「美紀…」

「こないで…見ないで…」

「ずっと怖がってたんだな」

「私だって…君に謝りたかった…でも私は鬼だから…」

美紀はボロボロ涙を流す。

またやってしまった…また人を今度は大怪我をさせてしまった。

もう駄目だ…また私は…

「馬鹿だな…」

玉緒は笑いながらそう言った。

「俺だって狐だよ…半分だけな…」

玉緒は笑いながら耳と尻尾を出す。

「俺も化け物呼ばわりされてずっと1人だった…でも今は中々楽しいんだぜ」

「…」

「だから美紀ももっと素直になれよ!また本教えてよ」

「…さい….」

「ん?」

「うっさい!馬鹿!」

美紀が声を上げた。

「ば、馬鹿っ?」

「あんた馬鹿すぎ…でも…」

「ん?」

「嫌いじゃない!」

美紀は涙を流しながら笑顔になる。

初めてだった、自分を怖がらずズカズカと入って来て自分を笑わせる、こんな馬鹿を初めて見たそして…

光が止むと美紀は安心しきった顔で寝息を立てていた。

玉緒達は大騒ぎになる前に美紀をおぶり学校を離れた。

次の日の学校は警察が来ていた、そりゃあんだけドンチャン騒ぎし学校を一部破損させたのだから、玉緒達は申し訳ないと思いながら授業を受けた、幸いにも怪我人はなくあの時いた学校の皆んなは何が起きたかは知らない。

故に今日の授業は午前で終わった、まあ学校があれでは…


玉緒達は中庭で昼ごはんを食べていた。

「何にしても疲れたな」

「そりゃあんな事があった後に授業だからね」

「気が重いよね….」

「まあ、すぐ終わったけどな…でも複雑だ」

三人はこの瓦礫の山を作った関係者に自分達が関わってるなんて口が裂けても言えない…

こりゃいずれバレるかもな…

「た…玉緒…くん」

「ん?よう美紀!」

美紀が図書室以外で姿を見せるなんて初めてだった玉緒は何か新鮮だった。

美紀は何か重そうな荷物を持っている。

「これお弁当….」

風呂敷の中には重箱のお弁当だった。

「作ってくれたのか?」

「ええ…」

美紀は真っ赤になる。

「玉緒くん…その…ありが…とう」

「ん?」

「だ、だから…」

美紀は真っ赤になり。

「ああ!もう!」

美紀はいきなり角を生やし玉緒の両肩を抑える。

「玉緒くん!私と…私と付き合って下さいっ!」

「……え…」

「「何ぃぃぃっ!?」」

美玲と撫子が声を上げた。

「私は玉緒くんに全てを見られたわ!だから責任を取って!」

「ちょっ!な、何を言ってっ!」

「全てっ!玉緒どういう事よ!」

「玉緒くんまさか浮気なのっ!」

「誤解だ!つか浮気じゃないし!誰とも付き合ってないんだから!」

美玲と撫子は玉緒に迫る。

「なら私と付き合いなさい!」

「ちょっ!先輩だからって何言ってるのよ!」

「そうですよ!玉緒くんは私と結婚するんです」

「あんたは何言ってる!」

美玲が声を上げた。

「フン、私は鬼族よ!上級妖怪に鳩がかてるかしら?」

「誰が鳩よ!私は烏天狗だ!」

美玲は錫杖を取り出す。

「あら?ヤル気?」

美紀も角を生やし金棒を取り出す。

「二人ともやめろー!」

玉緒は必死に二人を止める。

「玉緒くんあっち行こうよ」

撫子は玉緒の手を取り離れようとするが。

「「抜け駆けするなーー!!」」

二人は錫杖と金棒を玉緒に振りかざす。

「よせー!」

玉緒はなきあげる。

こうして、鬼嫁候補も出来たとさ…

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