115,5話
N2視点の話です。
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私はレイの笑顔が好きだ。
あまり笑わないくせに、時々大袈裟なくらいに笑うレイが好きだ。
君が笑うと私も嬉しい。
私はレイのめんどくさがる顔が好きだ。
私の思いつきに不満そうにしながらも付き合ってくれるレイが好きだ。
次は何をしようかと企む時間がとても楽しい。
私はレイがご飯を食べている時の顔が好きだ。
味や食感は私には分からないが、レイにとってすごく重要な事なんだと思う。
いつか同じものを食べられる時がくるといいな。
私を助けてくれたレイが好きだ。
君は永遠に続く地獄のような時間から私を救ってくれたのだ。
だから今回もきっとうまくいく。
君がいれば、私は何でも出来る気がするんだ。
岩の洞窟から抜け出し、雨の中向かった先には激しい攻防が繰り広げられていた。
私と似た姿形、同じ大きさの黒い人型のロボット達がそこにいたのだ。
それを見た時、レイはすぐに逃げようと言った。
襲われている方は、以前私とピノを破壊したスヴァローグという者らしい。
仲間割れなのだろうか。
スヴァローグは頭と左腕を激しく損傷している。
戯れとは思えない。
膝を着き成す術がないスヴァローグに、襲っている2体が止めを刺さんと腕にエネルギーを溜め始めた。
目の前で消えゆく命を放っておけなかった。
体が勝手に動いてしまったのだ。
止めるレイ達を無視し、彼らの間に入るとエネルギーを溜めていた2体の手が止まった。
「おいベロ、どうして打つのをやめた?」
「チェロ、あなたこそ何故です? そのまま打ち放っていれば、No1ごと今回のターゲットを始末できたというのに」
「お前の行動には大体裏があるからな。俺はその裏を警戒したんだ。……そういえば、No1はペルが殺したがってたな。……それだな? 絶対それだよな!? あいつ自分の思い通りにならねえとうるせえからな」
お互いをベロ、チェロと呼び合う2体は、まるで私など眼中にないようにそう話した。
No1というのはおそらく私の事だろう。
やはり、何故か私は憎まれているようだ。
「あーダメだ。こいつの顔を見てると無性に腹が立つぜ、俺は。すぐに殺してえ。今すぐにだ。……けどなあ……殺るとペルがなあ……」
「では正当防衛にするのはどうでしょう。うっかり殺してしまったのは、No1が我々を襲ってきたからだと。そうすればペルも納得するはず」
「敵を守るようなあまちゃんがどうやったら俺達を襲うってんだ? ああ? 俺にはさっぱりだ。いやあ、さっぱり分からないね!」
「ふむ。そう例えば……No1がさっきまで連れていた昆虫……とか?」
クヌギの事か……?
この者達、クヌギに何かする気なのか!?
「よせ!!! やめろ!!! クヌギは何も関係ないであろう!!」
「いいねええ。お前が苦しんでいる姿は大好物だ。よし、決まりだ」
黒いロボットの一体が、少し離れたところにいるクヌギ達の方を目掛けて何かを放った。
私のエネルギー弾と似た何かがクヌギを隠しておいたカバンに触れると、一瞬で炎上した。
「クヌギ!!! あぁなんてことを……!!!」
「俺の特注品さ、雨の中でもよく燃えるんだ。いかしてるだろ?」
何を言ってるんだこの者は……。
私の大切な友達を燃やしておいて、何を……。
「おいどういうことだ? 怒るどころか、元気がなくなっちまったじゃねえかよおい! 話がちげえぞベロ!」
「なるほど……。ではプレイヤーならどうでしょう? よく見ててくださいNo1。
あなたの、大切な人が、ものに変わる瞬間を。。」
「レイ!!!!!! にげろおおおおおおおおお!!!」
もう一方のロボットが放ったエネルギー弾が、レイの胸部を貫いた。
人の左胸は急所だったはずだ。
レイは体から大量の血を流し、グレから崩れ落ちた。
どんなに目をそらしたかったかわからない。
それでも私は眺めるしかなかった。
真っ赤に染まったレイが地に崩れる光景を、ただ眺めるしかできなかった。
「ダジが言うには今回のプレイヤーは特別な力を持ってるって言ってたっけ? これで一石二鳥だな! あれ、使い方合ってる?」
私のせいだ。
私が助けようなどと言ったからこうなった。 あの傷ではもうレイは助からないだろう。 私のせいだ! どうしていつも私は失敗ばかりするのだ! いや、こいつらが悪いんだ!! 大切な友達が奪われた。 私のせいだ。 悪いのはこの者達。 私のせいだ。 許せない。 自分を? こいつらを? レイ無事でいてくれ。 大切な相棒が奪われた! 許せない! 無事でいてくれ。 もしダメだったら? やっぱり許せない。 今何をすべキか。 レイを助けたい。 私のせいだ! 嫌ダ。 レイ、私を一人にしないでくれ。 許せない。 こいつらが許せナい。 コワシタイ。 レイ、私はドうすればいい 私は わたしは ワタシハ
「%:+#9?!¥Q&@」
「あーあ、壊れちゃったぜおい。お、体が黒く濁っていきやがる! 知らねえなあこんな機能、なあベロ?」
「背部からアームが出現。1、2、3、4本……。まるで化け物ですね」
「エナジー量も爆発的に増えやがった。効果抜群だなこりゃ」
「ふふ、いい報告ができそうです。チェロ、あなたがもし死んだときは、きちんと持ち帰るので安心してください」
「その言葉、そっくりそのまま返すぜ!」
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