107.5話 アリス・イン・ワンダーワールド ~決意~

 ギルフォードはアリスに全てを話した。

 アーティファクトを製造するためのSTARS計画のこと。

 以前運営していた養成施設のこと。

 施設にいた内の5人がSTARS計画の犠牲になり、残りの子供達は長い眠りについたこと。

 そして、ギルフォードがアリスを選んだ理由についても、全て。


「だからもう……こんな馬鹿げた戦争は、さっさと終わらせたいんだ」


 白衣の男は、どこか遠くを見据えながら呟く。

 だが、それと同時にアーティファクト達には戦って欲しくないという気持ちも強く、その矛盾にギルフォードは日々悩まされていたのだった。


 彼の話は淡々としていて、同情を誘ったわけではなかったが、そのあまりにも悲惨な子供達の過去に、アリスはいつの間にか涙を流していた。


 一通り話を聞いた後、分かったわ、と強い意志を込めてアリスは答える。


「終わらせましょう。……わたし達全員で」


 その確固たるアリスの眼差しに、ギルフォードは彼女をアーティファクト達のパートナーに選んで良かったと、改めて思ったのだった。


 それから数カ月後、残りのアーティファクト達が全て完成した。

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