サイドB 王都での異変

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レイのいる星とは別の場所のお話です。

今作の本編とは直接関りはありませんが、読んでいただけると嬉しいです。

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 惑星テルースの王都の地下深く、かつての宇宙戦争で使用された技術の研究は今もなお続けられていた。

 表向きには知ることが許されない禁忌であったが、かつての過ちを繰り返さぬよう王制のみに歴史は伝えられた。

 大戦により人類の半数は死滅し、自然は荒れ、多くの生物が姿を消した。

 その凄惨な過去を知る者はごく一部の人間のみとなったが、戦争で生み出された技術は現代でも活用されている。


 各国が他国を制圧するために資金を大量投入する。

 国を挙げて技術を開発するのだ、当時と比べれば現在の研究の進捗は象と蟻の一歩程の違いがある。

 Sシリーズの観測装置やそれらの防衛システムも当時生み出された技術ではあるが、脅威が過ぎ去った今となっては地下研究室の片隅で埃をかぶったままだ。

 これらはSシリーズの抑圧のため、当時の政府がなけなしの技術で開発したものであるが、以後数百年平和が保たれているということは正常に機能していると言えよう。

 問題のSシリーズの開発は政府とは別のとある科学者によって成されたが、王制の持つ歴史以外からは抹殺され、残された情報も僅かだった。

 しかし王の名を受け継いだ名ばかりの研究員達は、戦争こそ起こす気はないが当時の科学力に憧れ、何代にも渡り研究を続けている。


 彼らが過ごす王都の地下でとある異変が起きていた。

 通常ルートでは辿り着けない遠い星に隔離されたSシリーズの観測装置が数日前に作動を始めた。

 開発当初から正常稼働を続け、現王の数代前に行ったメンテナンス以降も特に異状をきたさなかった装置が初めて作動したのだ。

 該当するSシリーズメンバーがパートナーとシンクロした際にモニターに活動中の表記がされるという簡単な装置だ。

 担当を任されていた末端研究員のマルコは、初めこそ驚いたがとうとう中のパーツが劣化したのだと思うことにした。



「装置の誤作動が起きたのでメンテナンスを申請、っと。許可が下りたら適当な時間に中を見てみるか」


 しかしパーツには特に異変は見当たらなかった。

 更にはメンテナンス中に活動表記が増えてしまった。

 事態を重く見たマルコは上層に報告することにした。


「よぉーマルコ。どうした慌てて。お前が担当しているガラクタが遂に痺れを切らしたか?」


「さっき上位階級のメンテナンスを依頼したんですけど、ほんとに壊れている箇所は無くて! もし誤作動じゃなくて本当にSシリーズが復活したとなると……!!」


「ははは、そりゃ大変だ。宇宙戦争の再来ってか? まぁお前が見つけられないようなとこでエラーが出てるんだろ。後で俺が見といてやるよ!」


「あ、ありがとうございます……」



 この時マルコはもう一つの報告を忘れていた。

 Sシリーズの観測及び抑圧を担う防衛システムのモニタにも異変が起きていることを。


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